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Memories-あの日のあの人は
第3章 清風中学の男の子と樟蔭中学の女の子
私が通っていた四天王寺中学のなかで、同じ仏教系の学校の清風中学のイメージはあまり良くなかった。
そもそも、進学塾でも、四天王寺中学を目指す女子と同じコースになるのは、星光中学。もしくは、清風南海中学で、ワンランク下の清風中学は、軽視されていた。
私も、そこに染まっていた。小馬鹿にしていたと言ってもいいかもしれない。それは、大人になって結婚しても、同級生に染みついている。
だから、私は清風中学の『彼』の存在を同級生に話した記憶はない。バカにされることがわかっていたから。
でも、私は同じ駅で同じ時間の同じ車両の同じ扉から乗る『彼』の傍にいるようにした。周囲に樟蔭中学の女の子やプール学院の女の子に、同じ清風中学の男の子がいて、近づきにくかった『彼』の周囲に、誰もいなくなったから。
『彼』が並ぶ列の後ろに並んだ。
こんなことを、同級生に話したら、間違いなく侮蔑されるのはわかっていた。
でも、そうでもして、『彼』の近くにいたかった。
なぜ?
それは、『彼』に守られたかったから。
『彼』は、優しかった。少なくとも、樟蔭中学の女の子と、プール学院の女の子には。
朝、どちらかと、一緒になると、『彼』は、一緒に乗り込む。
樟蔭中学の女の子のときは、素早く、奥まで進んで、布施駅で開くドア側の手すりとの間のスペースに、女の子を入れて、『彼』が大人たちからの圧力を防いでいた。
ドアガラスに手をついて、樟蔭中学の女の子に満員電車のあの苦しい圧力がかからないように守っていた。たまに、圧力に負けて、樟蔭中学の女の子と密着してしまうこともあったけど。
私には、その樟蔭中学の女の子が羨ましかった。
守ってくれる男の子という存在が。もしかしたら、樟蔭中学の女の子は、毎回、『彼』が大人たちの圧力に負けて、自分と密着することを期待していたのかもしれないけど。
多分、期待していた。『彼』が大人たちの圧力に負けて、密着したとき、樟蔭中学の女の子は、幸せそうな顔をしていた。その意味でも、羨ましかった。
守ってくれて、幸せ。守り切れなくて、幸せ。
そんな樟蔭中学の女の子に、私は嫉妬していた。
そもそも、進学塾でも、四天王寺中学を目指す女子と同じコースになるのは、星光中学。もしくは、清風南海中学で、ワンランク下の清風中学は、軽視されていた。
私も、そこに染まっていた。小馬鹿にしていたと言ってもいいかもしれない。それは、大人になって結婚しても、同級生に染みついている。
だから、私は清風中学の『彼』の存在を同級生に話した記憶はない。バカにされることがわかっていたから。
でも、私は同じ駅で同じ時間の同じ車両の同じ扉から乗る『彼』の傍にいるようにした。周囲に樟蔭中学の女の子やプール学院の女の子に、同じ清風中学の男の子がいて、近づきにくかった『彼』の周囲に、誰もいなくなったから。
『彼』が並ぶ列の後ろに並んだ。
こんなことを、同級生に話したら、間違いなく侮蔑されるのはわかっていた。
でも、そうでもして、『彼』の近くにいたかった。
なぜ?
それは、『彼』に守られたかったから。
『彼』は、優しかった。少なくとも、樟蔭中学の女の子と、プール学院の女の子には。
朝、どちらかと、一緒になると、『彼』は、一緒に乗り込む。
樟蔭中学の女の子のときは、素早く、奥まで進んで、布施駅で開くドア側の手すりとの間のスペースに、女の子を入れて、『彼』が大人たちからの圧力を防いでいた。
ドアガラスに手をついて、樟蔭中学の女の子に満員電車のあの苦しい圧力がかからないように守っていた。たまに、圧力に負けて、樟蔭中学の女の子と密着してしまうこともあったけど。
私には、その樟蔭中学の女の子が羨ましかった。
守ってくれる男の子という存在が。もしかしたら、樟蔭中学の女の子は、毎回、『彼』が大人たちの圧力に負けて、自分と密着することを期待していたのかもしれないけど。
多分、期待していた。『彼』が大人たちの圧力に負けて、密着したとき、樟蔭中学の女の子は、幸せそうな顔をしていた。その意味でも、羨ましかった。
守ってくれて、幸せ。守り切れなくて、幸せ。
そんな樟蔭中学の女の子に、私は嫉妬していた。