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第1章 妻狩り依頼・高慢女の鼻を折れ

　　　クズなの？

　　　それにしては、まともな話をするのね。

　　　たしかに、そうかもしれないわ。

　　　嫌いなら離婚して、再婚すればいい。

　　　わかっているのよ。わたしだって。

　　　でも、難しいのよ。


と、明らか、含みを持たせて話した。何が難しいのか？

俺は、考えた。離婚の原因として認められるのは、

①相手に不貞行為があったとき
②相手から悪意で遺棄されたとき
③相手の生死が3年以上明らかでないとき
④相手が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
⑤その他婚姻を継続し難い重大な理由があるとき

の5つだが、風俗通いが不貞行為にあたるかどうか。

該当するはずだ。ただ、証明が容易ではないかもしれないが。

②から④は該当しない。あとは、⑤だが・・・。

フッと笑ってしまった。

妻を自分以外の男に襲わせるのは、重大な理由になるだろう。

それこそ、俺か、野島が証言すれば・・・。

野島は有名人で、いくら引退したとはいえ、
元スター選手の立場がある。

しかし、俺には・・・。


　　　夫の風俗通いで、離婚原因になるだろう。

　　　不貞行為だ。


と、俺は、実華子に話した。首を振って、


　　　証拠がないわ。

　　　福原に行っていることはわかっても・・・。


と、実華子は話した。


　　　尾行すればいい。なんなら、俺がしてもいい


と、話すと、


　　　無駄よ。いつもゴルフ帰りや、会合の後に行くの。

　　　仲間の人たちも一緒に。

　　　付き添いで行っただけだ。

　　　俺は中で待っていたって、言われたら負けよ。

　　　夫はいつも帰宅したら、
　　　若いのが行きたいというから付き添っていた

　　　と、言い訳をするわ。

　　　夫がセックスをしていたって証明は、
　　　相手の女性が証言するしかないけど、
　　　するはずがないし。


と、吐き捨てた。なるほど。そうだろう。


　　　だとしたら、俺が証言するさ。

　　　ご主人に、妻を襲ってくれと頼まれましたって。

　　　これは重大な理由になるだろう。


と、俺が話すと、


　　　録音でもできたら、証拠になるかもしれないけど


と、答えた実華子。難しいだろうか。