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幻影の胡蝶 〜桃源郷の寵妃達〜
第6章 寵妃になる為に…※
「じゃあ舞鶴が俺の事労わって。」

舞鶴の手を握ると、スリっとすぐに自分の頬に当てた。

「………胡蝶の事でお話が……。」







顔を赤くするが、舞鶴はスッと玄武から手を抜いた。

「……最近舞鶴が俺の所に来る理由が胡蝶だけだね……。」

不満な顔を隠さないで、玄武は湯船から体を出した。








慌てて舞鶴は玄武を追いかけて、タオルを肩に掛ける。

「……玄武様も胡蝶を気にかけて下さっていると思っていました…。」

「…舞鶴は随分と胡蝶が気に入っているんだね。」








舞鶴からタオルを受け取ると、玄武は自分で体を拭いた。

そして、舞鶴が用意した着物を彼女に着せてもらう。








「…胡蝶は、大丈夫だよ。彼女なりにここで楽しく過ごせるだろうから…。」

含みがある玄武の笑みに、舞鶴は余計に心配になった。









玄武は胡蝶を寵妃にしてくれると思っていた。

当てが外れたのだろうか。

玄武は胡蝶が他の女人の様に、転生する事を願っている様だ。








「……鶯は…。」

玄武の声に、ハッと気を戻して、止めていた手を動かした。

「白虎に任せようと思う。」

「!!」








『白虎に任せる。』

それがどんな意味を持っているか、舞鶴は知っていた。








「……やっと鶯の顔を見なくて済むんですね。」

鶯が白虎と密な時間を過ごす事は気に入らないが、玄武の決定自体には賛成だった。








だけど、今日は何処か余裕で、胡蝶に対してその気持ちを表さない玄武に、少しだけ意地悪がしたくなった。







「まぁ…でもどうしましょう……私胡蝶と白虎様は気が合うと思って、お2人がお会いになる段取りを作ってしまったのですが。」
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