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幻影の胡蝶 〜桃源郷の寵妃達〜
第7章 西の虎【白虎】…※
(みんな、俺の事好きだって言っていたのに……。)

鶯の細い背中を眺めながら、白虎は涙を浮かべた。







すぐに鶯だって、白虎の事なんてどうでもよくなり転生する。

「…はぁ鶯…、今だけでも俺を見てて……。」

白虎は鶯の顔を掴んで耳元で囁いた。

その時に落ちた白虎の涙に、気がつく女人はいなかった。







好きな寵妃でも密な時間を過ごしてしまったら、その寵妃は転生してしまう。

白虎にとって1番良いのは、その寵妃ですら他の四神達と時間を共有する事だった。

白虎がその女人と時間を過ごさない為に。







だけど白虎だって1人の男だった。

自分が好きな寵妃を、他の四神と共有したく無い…。







白虎はこの桃源郷で唯一。

満たされる事を知らない人物だった。







『私は貴方を残して転生しません…。』

はるか昔、【胡蝶】が囁いた言葉が頭に響く。







「嘘つき……嘘つき…。」

貴方は自分を捨てて蘇った。

白虎よりも好きだった男の元に。




































最近舞鶴の機嫌が悪かった。

それが鶯が白虎亭に入り浸っている事だともっぱらの噂だ。







正直、胡蝶は鶯の姿を見ないで済むので、それはそれで良かった。

『今日も離れの場所で洗濯してきて!』

そう命令する舞鶴に、イラッとする事はあるが。







舞鶴は何故あの場所にこだわるのだろう。

戻った胡蝶に舞鶴は誰かと会ったか聞いてきた。

その時に、朱雀に会ったと言った時の、舞鶴の微妙な顔は忘れられない。






『……朱雀様と仲直り出来た?』

そう聞いてきた舞鶴から顔を逸らした。

その胡蝶に、舞鶴は眉間を押さえてため息を吐いた。

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