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幻影の胡蝶 〜桃源郷の寵妃達〜
第7章 西の虎【白虎】…※
「ちょっと!!あんた何してるのよ!!」
2人のすぐ背後で怒号が聞こえた。
2人同時にその声の方向を見ると、そこには顔を真っ赤にしている鶯が居た。
鶯はズカズカと胡蝶に近付くと、彼女の髪の毛を思い切り根本から掴んだ。
そしてその力のまま、白虎から胡蝶を引き剥がした。
「っ!!いたっ!!ちょっと!!」
「白虎様は私と過ごしているのよ!!何勝手に近付いているんだ!!」
鶯の手首を掴んで、胡蝶は髪の毛が引っ張られる痛みに顔を歪ませた。
(…この野郎……!)
他人から与えられる痛みは、簡単に怒りのボルテージを上げた。
胡蝶は鍛えた握力で思い切り鶯の手首を掴んだ。
今度は痛みに顔を歪ませたのは鶯の方だった。
鶯の手が髪の毛を離しても、胡蝶はその力を緩めなかった。
ギリギリと鶯の手首の骨が軋む音がした。
そのままその細い手首を折ってもいいと思えたほど。
胡蝶は顔を真っ青にして鶯を見下ろした。
「痛ぁい!!白虎様!!」
「胡蝶…。」
チラッと見た白虎は、無表情のまま胡蝶を制していた。
胡蝶はその白虎を見て、ハッと乾いた笑みを浮かべる。
そして鶯の手首を離した。
「白虎様!!」
鶯は痛みで流した涙を拭う前に白虎の胸の中に収まった。
その2人の光景を見て、胡蝶は冷めた顔を向けた。
「……白虎様…。」
胡蝶の低い声に、白虎は鶯から胡蝶に顔を向けた。
「私だって、私を1番見てくれる男性にしか惹かれませんよ。」
胡蝶の冷たい刺す様な目線に、白虎はゾクっとした。