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ポートレート – Portrait –
第4章 蝶になった小説家
「そ…そんな…」

————KENさんの洞察力に言葉がでなかった。確かに紫はエレガントに見えるため、好きな色だった。昨日までの自分がまさに欲求不満だった。そして自分自身の持つ魅力に気付いて、舞い上がっていた。そして今、蜘蛛の巣に捕まった蝶になった私…私の想像力が今までにない程、高められた気がした…。悲壮感が急に襲ってきた。

「さあ、今日の撮影始めようか。真衣ちゃんの魅力を逃さず撮るからね」

KENはすぐ近くのソファーに腰を下ろし、カメラを手にし、真衣の姿を見ていた。

一方、真衣の方は、全身に吸いついている、縄の状態を確認するだけで精一杯だった。少し弛んだ状態で重ね合わされていた、表裏の蜘蛛の巣は、きちんとその役目を果たし、真衣の動きを封じ込めるため密着していた。
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