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天狐あやかし秘譚
第1章 【第1話 天狐】禍福糾纆(かふくきゅうぼく)

☆☆☆
ダメ!
思った瞬間、私の背後の部屋でガタンと物音がした。
え?誰かいるの?
それとともに、まるで動物園にいるような錯覚をおぼえる。なんで、と思ったが、すぐに理由はわかった。匂いだ。まるでクマやヒヒのような大型の動物の匂い、獣の匂いがする。
「なんじゃ、無粋じゃのう。もう少し待てなんだか」
ジーンズを下げようとしていたダリが手を止める。素早く衣を身に纏いだす。
「主も服を着ろ・・・来るぞ」
え?え?
あまりの急展開についていけない。脱がせたり、着ろと言ったり。
どういうことなの?
戸惑っているうちにダリは衣を身につけてしまった。鋭い目で周囲を窺うようにする。耳がピンと張り詰め、尻尾もゆっくりと警戒するように動いている。ピリピリとした緊張を感じる。
私は、中途半端に高められたまま、致し方なく服を着た。なんなのよ、一体!
「そう言えば、お主、名は?」
今更!?
「あ・・・綾音です。浦原綾音」
「綾音か、良い名じゃ。」
良い名・・・なんて、言われたの初めてだ。
「では、綾音、ちょっと我慢しろ。」
え?と思ったのもつかの間、ダリは軽々と私のことを抱えると、床の間向かって左手の障子にそのまま突っ込んだ。
「ちょっとー!」
バリバリと障子を突き破り廊下に飛び出す。途端、ドゴン!という音とともに、元いた奥の間に、つま先から踵までが5〜6メートルはある、大きな大きな毛むくじゃらの足が天井から踏みつけるように落ちてきた。大足は私達がさっきまでいた場所を確実に踏み抜いていた。
ぎゃーー!!!
声が出ないが、心の中は大パニックだ。ダリだけでもお腹いっぱいなのに、あんなマジモンの妖怪を目にして、私は気絶寸前である。
ダリがしっかり私のことを抱えていてくれているから、なんとか正気を保っていられていると言ってもいい。その彼は、私を抱えたまま、廊下を走り出す。
ダメ!
思った瞬間、私の背後の部屋でガタンと物音がした。
え?誰かいるの?
それとともに、まるで動物園にいるような錯覚をおぼえる。なんで、と思ったが、すぐに理由はわかった。匂いだ。まるでクマやヒヒのような大型の動物の匂い、獣の匂いがする。
「なんじゃ、無粋じゃのう。もう少し待てなんだか」
ジーンズを下げようとしていたダリが手を止める。素早く衣を身に纏いだす。
「主も服を着ろ・・・来るぞ」
え?え?
あまりの急展開についていけない。脱がせたり、着ろと言ったり。
どういうことなの?
戸惑っているうちにダリは衣を身につけてしまった。鋭い目で周囲を窺うようにする。耳がピンと張り詰め、尻尾もゆっくりと警戒するように動いている。ピリピリとした緊張を感じる。
私は、中途半端に高められたまま、致し方なく服を着た。なんなのよ、一体!
「そう言えば、お主、名は?」
今更!?
「あ・・・綾音です。浦原綾音」
「綾音か、良い名じゃ。」
良い名・・・なんて、言われたの初めてだ。
「では、綾音、ちょっと我慢しろ。」
え?と思ったのもつかの間、ダリは軽々と私のことを抱えると、床の間向かって左手の障子にそのまま突っ込んだ。
「ちょっとー!」
バリバリと障子を突き破り廊下に飛び出す。途端、ドゴン!という音とともに、元いた奥の間に、つま先から踵までが5〜6メートルはある、大きな大きな毛むくじゃらの足が天井から踏みつけるように落ちてきた。大足は私達がさっきまでいた場所を確実に踏み抜いていた。
ぎゃーー!!!
声が出ないが、心の中は大パニックだ。ダリだけでもお腹いっぱいなのに、あんなマジモンの妖怪を目にして、私は気絶寸前である。
ダリがしっかり私のことを抱えていてくれているから、なんとか正気を保っていられていると言ってもいい。その彼は、私を抱えたまま、廊下を走り出す。

