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天狐あやかし秘譚
第78章 怪力乱神(かいりきらんしん)

☆☆☆
そして土御門たちと反対のサイド、右翼方向では、クチナワが呼び出し続ける大量の妖魅達を相手取り、左前、土門、九条が同じく苦戦を強いられていた。
「これ、キリがなくないですか!!」
九条が金鞭(かなむち)を振るいながら愚痴をこぼす。金鞭の宝玉の先から走る水の鞭『歳刑鞭』(さいぎょうべん)が火車と呼ばれる炎を纏った猫のような妖怪を二匹まとめて吹き飛ばした。
「文句言わずに叩けぃ!」
左前が胸の前で構えた鏡から、幾筋もの水の刃を生み出していく。水の刃は細かく針状に別れ、ちょろちょろと地面を駆ける丸っこいネズミを撃ち抜いていく。
このネズミは小玉鼠と呼ばれる爆弾のような性質を持つ妖怪だ。放っておけば知らぬ間に足元まで忍び寄って炸裂し、容易に術者に致命傷を負わせる厄介な奴らだった。
小玉鼠を片付けながら、左前が10メートルほど先を見ると、そこには麒麟と呼ばれる幻獣にまたがったクチナワが、その両手から際限なくボロボロと妖魅の類を生み出し続けていた。
ー確かにこりゃ切りが無い!
だが、あの麒麟のせいで容易に術者に近づけん・・・!
麒麟の性は『土』であり、絶対の守護を意味する。その力の性質通り、あの幻獣は、背負った術者に対するあらゆる呪術を防衛してしまうのだ。あの幻獣自身が局所的ではあるが、大鹿島の四神クラスの結界に近い働きをしているのだ。
ー厄介なもん呼び出しよったな・・・っ
麒麟が足を踏み鳴らすと大地が揺れ、それもまた陰陽師たちの術の発動を遅らせる。しかも、無限のごとく湧き出る妖魅を叩き続けなければならないという制約付きだった。
麒麟にまたがり、無限に妖魅を生み出し続ける敵・・・
九条も、左前もジリジリとその体力を削られていっていた。
そして土御門たちと反対のサイド、右翼方向では、クチナワが呼び出し続ける大量の妖魅達を相手取り、左前、土門、九条が同じく苦戦を強いられていた。
「これ、キリがなくないですか!!」
九条が金鞭(かなむち)を振るいながら愚痴をこぼす。金鞭の宝玉の先から走る水の鞭『歳刑鞭』(さいぎょうべん)が火車と呼ばれる炎を纏った猫のような妖怪を二匹まとめて吹き飛ばした。
「文句言わずに叩けぃ!」
左前が胸の前で構えた鏡から、幾筋もの水の刃を生み出していく。水の刃は細かく針状に別れ、ちょろちょろと地面を駆ける丸っこいネズミを撃ち抜いていく。
このネズミは小玉鼠と呼ばれる爆弾のような性質を持つ妖怪だ。放っておけば知らぬ間に足元まで忍び寄って炸裂し、容易に術者に致命傷を負わせる厄介な奴らだった。
小玉鼠を片付けながら、左前が10メートルほど先を見ると、そこには麒麟と呼ばれる幻獣にまたがったクチナワが、その両手から際限なくボロボロと妖魅の類を生み出し続けていた。
ー確かにこりゃ切りが無い!
だが、あの麒麟のせいで容易に術者に近づけん・・・!
麒麟の性は『土』であり、絶対の守護を意味する。その力の性質通り、あの幻獣は、背負った術者に対するあらゆる呪術を防衛してしまうのだ。あの幻獣自身が局所的ではあるが、大鹿島の四神クラスの結界に近い働きをしているのだ。
ー厄介なもん呼び出しよったな・・・っ
麒麟が足を踏み鳴らすと大地が揺れ、それもまた陰陽師たちの術の発動を遅らせる。しかも、無限のごとく湧き出る妖魅を叩き続けなければならないという制約付きだった。
麒麟にまたがり、無限に妖魅を生み出し続ける敵・・・
九条も、左前もジリジリとその体力を削られていっていた。

