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天狐あやかし秘譚
第78章 怪力乱神(かいりきらんしん)

黄金の蛇が大地に接触している面から広がる金色の波動がヤギョウに届くと、ヤギョウの足元から全身に幾重にも渡る衝撃波が加わっていく。
これが、土御門の使う十二天将のひとつ、凶将・勾陳の力である。
水気由来の死霊であるヤギョウにとって相克関係にある勾陳の「土性」の術は確実にその身体を蝕んでいった。
「そのまま縛り付けろ!」
シャア!というのがおそらく勾陳の鳴き声なのだろう。一声応えると、ビュッと地面から何本もの縄のようなものが生えてきて、あっという間にヤギョウを縛り上げていく。
《ふぐぅ・・・ぐぅ》
ヤギョウが悶え、抜け出そうと力を込めようとするが、勾陳がまた一声鳴くと縛っていた縄がぐんと太くなり、更に強い力で締め上げていった。
「こっちは、これで・・・しまいか?」
縛り付けられたヤギョウの身動きが小さくなるのを見届けて、土御門が背後を振り返る。背後では瀬良が膝立ちになりながらも、油断なくヤギョウを見つめていた。その額から、つと血が流れているのを見て、土御門が少し目を見開く。
「なんや、瀬良ちゃん・・・怪我したんか?」
遠くで再び爆音が響くのを聞きながら、土御門は瀬良のもとに駆け寄っていった。
これが、土御門の使う十二天将のひとつ、凶将・勾陳の力である。
水気由来の死霊であるヤギョウにとって相克関係にある勾陳の「土性」の術は確実にその身体を蝕んでいった。
「そのまま縛り付けろ!」
シャア!というのがおそらく勾陳の鳴き声なのだろう。一声応えると、ビュッと地面から何本もの縄のようなものが生えてきて、あっという間にヤギョウを縛り上げていく。
《ふぐぅ・・・ぐぅ》
ヤギョウが悶え、抜け出そうと力を込めようとするが、勾陳がまた一声鳴くと縛っていた縄がぐんと太くなり、更に強い力で締め上げていった。
「こっちは、これで・・・しまいか?」
縛り付けられたヤギョウの身動きが小さくなるのを見届けて、土御門が背後を振り返る。背後では瀬良が膝立ちになりながらも、油断なくヤギョウを見つめていた。その額から、つと血が流れているのを見て、土御門が少し目を見開く。
「なんや、瀬良ちゃん・・・怪我したんか?」
遠くで再び爆音が響くのを聞きながら、土御門は瀬良のもとに駆け寄っていった。

