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天狐あやかし秘譚
第79章 義勇任侠(ぎゆうにんきょう)

「そうだね・・・まあよほどのことがない限りヤギョウがなんとかするだろうけど、彼も『アレ』を抱えたままだと辛いかなあ」
『アレ』とは死返玉の適合者、片霧麻衣のことである。ヤギョウの役割は、黄泉平坂の内部に死返玉と麻衣を持ち込み、坂をこじ開けること、だった。当然、いかに不可思議な力を持つヤギョウであっても、片手が塞がっての戦いでは不利になるのは目に見えていた。
「ま、千引きの岩を砕ければ、大体勝ったようなもんだけどね」
「ヤギョウが砕いてくださるといいですね」
「いや・・・多分、砕くのはカダマシだよ」
フフ・・・何やら意味深な表情で館様は口を歪めるように笑っていた。
「生きて、戻ってきたらいいねえ」
そして、そう続けると、退屈そうにひとつあくびをした。
その言い方は、まるでカダマシが死ぬのを予期しているよう・・・
そんなふうにスクセには感じられた。
『アレ』とは死返玉の適合者、片霧麻衣のことである。ヤギョウの役割は、黄泉平坂の内部に死返玉と麻衣を持ち込み、坂をこじ開けること、だった。当然、いかに不可思議な力を持つヤギョウであっても、片手が塞がっての戦いでは不利になるのは目に見えていた。
「ま、千引きの岩を砕ければ、大体勝ったようなもんだけどね」
「ヤギョウが砕いてくださるといいですね」
「いや・・・多分、砕くのはカダマシだよ」
フフ・・・何やら意味深な表情で館様は口を歪めるように笑っていた。
「生きて、戻ってきたらいいねえ」
そして、そう続けると、退屈そうにひとつあくびをした。
その言い方は、まるでカダマシが死ぬのを予期しているよう・・・
そんなふうにスクセには感じられた。

