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天狐あやかし秘譚
第80章 絶体絶命(ぜったいぜつめい)

日暮の言葉の歯切れの悪さから、戦況はあまり良くないのだろう。
「ダリは?・・・ダリはどうなったの!?」
「ダリさんは・・・かなり、ボロボロの姿になっています。おそらく、カダマシの放った力を黄泉路に流し込むために、莫大な妖力を使ったのでしょう・・・」
ダリの見た目がぼろぼろになっているというのは、とても良くない知らせだ。
通常、彼は自身の持つ超妖力で服だろうが、身体の傷だろうが、瞬時に治してしまう。つまり、今はそれができないほどの状態、というわけだ。
「ダリ・・・」
どうしよう、居ても立っても居られない。
自分が行ってどうにかなるとは思えないが、それでも、みんなを守るために力を使い果たそうとしている彼を放ってはおけない。
おそらく、私は見るからにオロオロと動揺していたのだろう。日暮が言った。
「行きますか、結界内に・・・?」
「行かれるの?」
二重の結界が張ってあり、外と中が物理的にも霊的にも遮られている状態であると言っていた。そこに、入る方法があるのだろうか?
「ええ、入れます。私と、猫神の力があれば・・・どう、なさいますか?」
日暮の言い方から察するにおそらく、彼女が試そうとしている方法は安全なものではないのだろう。しかし、私の気持ちは決まっていた。迷う余地などなかった。
「お願いします」
私は、静かに、しかし、力強く、日暮に向かってそう言っていた。
「ダリは?・・・ダリはどうなったの!?」
「ダリさんは・・・かなり、ボロボロの姿になっています。おそらく、カダマシの放った力を黄泉路に流し込むために、莫大な妖力を使ったのでしょう・・・」
ダリの見た目がぼろぼろになっているというのは、とても良くない知らせだ。
通常、彼は自身の持つ超妖力で服だろうが、身体の傷だろうが、瞬時に治してしまう。つまり、今はそれができないほどの状態、というわけだ。
「ダリ・・・」
どうしよう、居ても立っても居られない。
自分が行ってどうにかなるとは思えないが、それでも、みんなを守るために力を使い果たそうとしている彼を放ってはおけない。
おそらく、私は見るからにオロオロと動揺していたのだろう。日暮が言った。
「行きますか、結界内に・・・?」
「行かれるの?」
二重の結界が張ってあり、外と中が物理的にも霊的にも遮られている状態であると言っていた。そこに、入る方法があるのだろうか?
「ええ、入れます。私と、猫神の力があれば・・・どう、なさいますか?」
日暮の言い方から察するにおそらく、彼女が試そうとしている方法は安全なものではないのだろう。しかし、私の気持ちは決まっていた。迷う余地などなかった。
「お願いします」
私は、静かに、しかし、力強く、日暮に向かってそう言っていた。

