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天狐あやかし秘譚
第80章 絶体絶命(ぜったいぜつめい)
☆☆☆
「ヒャアッハァー!」

妙にハイテンションな声が上空から響いている。声の主は貧相な体つきに白色の領巾を肩からかけた男、クチナワだ。先程、麒麟を土門によって攻略され、あわや捕縛寸前まで追い詰められた瞬間に、カダマシとダリの衝突による千引の大岩の消滅、それに伴う瘴気の補充という追い風を受けて完全に復活していた。

いや、正確に言えばクチナワ自身は瘴気によって活性化されることは一切ないのであるが、クチナワが身につけた神宝・蛇肩巾とそれが呼び出す妖魅は一律に『黄泉の瘴気』によって一段階強くなっていた。具体的にいえば、蛇肩巾は一度に呼び出せる妖魅の数が増加し、かつ、呼び出された妖魅は速度、パワーが共に増大していた。

今、クチナワは再び呼び出した『鵺』(ぬえ)にまたがり上空から戦況を一望している状態だった。実は土門にやられたダメージが癒えているわけではないのであるが、高いところにいるということと、蛇肩巾のパワーが増したことによる高揚感が、痛みを吹き飛ばしてしまっていた。

宙空でクチナワは両の手を振りかざし、ボロボロと小玉鼠を生み出す。その下では鵺が吠え、辺りに激しい雷と火球を降らせていた。

「ひやあ!あれは手に負えないのです!黄泉の瘴気で能力が上がっているのです!」
土門も雷や火球を避けるので精一杯の様子だ。その上、少しでも隙を見せれば、周囲に溢れかえった妖魅達が容赦なく襲ってくる。基本的には戦闘能力に乏しい土門は逃げの一手となることを余儀なくされていた。

「オラオラどうした。陰陽師ども!さっきまでの勢いはどこ行ったぁ?」
いやらしい笑みを浮かべ、クチナワは妖魅を召喚し続ける。

ーすげえ気持ちいい!まるで神様にでもなったみてえだ!

気分は、天井から地を這いつくばる愚民に対して、思うさまバチを当てている神様のそれだった。ちらりとみるとヤギョウが陰陽師たちを蹴散らしながら黄泉平坂に向かって猛スピードで駆けているのが見えた。その後ろを追いかけているのは、先日、自分を痛めつけた糸目の陰陽師だ。

腹の中でムラムラと復讐心が頭をもたげてきた。
「鎌鼬よ!雷獣よ!行け!あの糸目を血祭りにあげろぉ!」

命じると数十匹の妖魅が一斉に土御門めがけて押し寄せていった。そして、自分自身もヤギョウと土御門の間に立ちはだかろうとするべく、鵺を操作して空を駆けた。
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