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天狐あやかし秘譚
第80章 絶体絶命(ぜったいぜつめい)
「名前を呼んだほうがカッコいいから、という理由で言う人もいますし、イメージを高め、呪言への集中力を補助するためという意味で言う人もいますけど。」
「えっと・・・ちなみに日暮さんは?」
「可愛いからです!ね?ニャンコ先生!」

今呼び出したばかりのニャンコ先生・・・じゃなかった『猫神』に日暮が語りかけると、式神はにゃーと可愛らしく返事をした。要は趣味・・・ということか。

「えっと・・・」
自分で質問をしておきながら話が長くなってしまったことにちょっと焦れてきた。やっぱり中で何がどうなっているのかが気になるから早く行きたいのだ。

「あ!すいません。今準備しますね。」

彼女は黒猫の頭を2〜3度撫でると、手にした呪符を胸に抱く。日暮いわく、結界内にいる猫神を呼んでいるのだそうだ。

「猫神は二匹いると、『にゃんこロード』を作れるんです」
「にゃんこロード?」
「抜け道、ですね。早い話が。結界とか、完全に閉じていると無理なんですけど、少しでも隙間があれば、そこをぬるりと通り抜ける事ができますし、人ひとりくらいならそこを通すこともできる。これ、猫神の能力なんですよ」

要は、結界を挟んであっち側とこっち側に猫神がいると、そこにある僅かな隙間を人が通れるようにできるということだった。確かにネコ、するりと隙間から入ってきたりするからなあ。

日暮によると、水公の結界の方は主に呪力に作用するもので、言ってみれば緋紅が『鬼道』を使ってちょっかい出してこないように張っているものだからあまり関係ないそうなのだが、四神クラスの結界である『玄武盤石厳界』は通り抜け不可なのだそうだ。そのため、大鹿島にお願いして、一瞬だけ針の穴ほどの隙間を作ってもらうのだという。

「大鹿島様に言った時間まで、あと30秒です」

日暮の言葉がわかっているのか、彼女の足元で猫神が『にゃあ』と、一声鳴いた。結界壁の向こう側でも恐らくもう一匹が同じように鳴いていることだろう。
「あと20秒です。綾音さん、先程伝えたことをお忘れなく。この壁の向こうはちょうど千引の大岩の北側にあたります。中に入ったら猫神を頼ってくださいね・・・」

分かった、という意味を込めて、私は頷く。
準備をしている間に日暮に聞かされた中の様子を思い出し、緊張が高まってくる。

「そろそろです。あと10秒・・・9、8、7、6、5、4・・・」
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