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天狐あやかし秘譚
第81章 覆水不返(ふくすいふへん)
ー左前の言う通りや。このままじゃジリ貧や・・・
 クソ!青龍か、勾陳か・・・、天后・・・天乙貴人・・・

ぐるぐると考えを巡らせている中、ひとつ、土御門の頭に閃くものがあった。

ーそうや!

「土門!左前!10秒保たせろ!」
土御門は将軍剣を鞘に戻すと、懐から一枚の札を取り出した。札には五芒星がひとつ描かれている。土御門家の源流である安倍晴明の用いた紋章・・・通称「セーマン」と呼ばれるものだった。その符を左手の人差し指と中指に挟み、高々と頭上に掲げた。右手は胸の前で刀印を結ぶ。

「わかったのです!」
「頼む!土御門さん!」

ーいや、もう一体おった・・・わいが今、使える天将が!

「前三 六合 木神 家在 卯主陰私 和合吉将」

符が緑に輝き、ゆらりと揺れた。その揺れが次第、次第に大きくなっていく。ついに、符を中心につむじ風が巻き上がっていく。木気を有する吉将、風を操る事ができる形なき天将である「六合」(りくごう)が周囲の大気を孕み、その半透明の体を膨れ上がらせた。

その姿は細い縄状のものが幾筋も立ち上り絡まり、吹き上がっている様子に見える。薄く緑色に染まるつむじ風のようでもあった。

「行け!六合!叩き落としたれ!」
つむじ風の中心で、土御門が叫ぶ。その呼び声に煽られ、更に六合の身体が膨らみ、その封域が広がった。

「ぐあ!な・・・なんだ!?」
領域を太らせた六合がクチナワを乗せた鵺をその風域に捉えていく。鵺はその緑なす風から逃れようと身悶えをしたが、形のない風からは逃れることができず、あっという間に錐揉み状態になって落下していった。

「六合・・・鬼獣を切り裂け!」
鵺を叩き落とすと、六合は半透明の身体を伸び上がらせて今度は地上へと一気に風を叩きつけた。その凄まじい風圧が諸々の小妖はもとより、牛鬼、馬骨、鬼熊の動きを一瞬にぶらせた。

ーそうや・・・倒してしまう必要はあらへんねん。こうしてバラけさせて、動きさえ鈍らせれば・・・
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