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天狐あやかし秘譚
第8章 針小棒大(しんしょうぼうだい)
☆☆☆
「そう怒るな綾音よ」
「ダリのバカ」
「そうでござる、心が狭いでござるよ」
「ダリのバカ、バカ、バカ」
「まま・・・肉まんおいしい」
「ダリのバカ」
「綾音もきつねうどん食べるか?」
「バカ、バカ・・・もう知らない!」

結局、お昼を食べそこねた私達はモールにある大きなフードコートに来た。清香ちゃんは肉まんを、ダリはきつねうどんを、何故か芝三郎まで来ていて、彼はおにぎりを食べていた。私はハヤシライスを食していた。

「だいたいなんであんたも一緒にご飯食べてるのよ!」
私が怒鳴ると、芝三郎はさっとダリの後ろに隠れる。なんだ、その連携。
「まあまあ・・・こやつも行く宛がないようじゃし。それに、こやつ年若い狸の割にはなかなかの化け術を使う。久しぶりの化け合戦、楽しめたぞ」
「もったいなきお言葉。よもや日ノ本中に名の知れた天狐ダリ様とは、誠に畏れ多い・・・。拙者など、まだまだでござる」
「ふむ、お前は芝三郎と申したな。もしや芝右衛門の縁者か?」
「ご明察でございます。あの日本三名狸と名高い芝右衛門は拙者の曽祖父に当たりまする」
「おお!芝右衛門殿の曾孫に当たるのか・・・」
なんだ、なんだ?ダリがいつになく饒舌だ。狸と狐って仲悪いんじゃないのかよ。
機嫌良く昔話に花を咲かせる二人(二匹?)の話を総合すると、どうやらこういうことのようだ。

芝三郎は淡路の国で生まれたが、武者修行の旅ということで家を出て、あちこちうろついた挙げ句、たどり着いたのが、当時武蔵の国と呼ばれていたこのあたりだったのだという。そこで、道端で人を驚かしたり、旅人から物をくすねたりしていたそうだが、悪行が過ぎたことから、里の人間が依頼した法力を使う坊主に塚に封じ込められてしまったという。
時は流れ、その塚の跡地にこのモールができたが、塚は取り壊されたものの、その御神体は神棚に祀られていたために、やっぱり芝三郎は封じられたままだったという。それが、今回の改築にともなって取り壊されたことから、晴れて自由の身になった、ということらしい。
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