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天狐あやかし秘譚
第8章 針小棒大(しんしょうぼうだい)
ところが、周囲の様子は様変わりしているし、人を化かそうにも、暗い夜道もなければ、うら寂しい場所もない。更に言えば、周囲の人の格好も景色も全く見慣れないものになっていて途方に暮れていたらしい。

そこに私達がやってきた。天狐と死霊というあやかしの気配を纏った私は、彼にとって懐かしい空気感を持っていたようだ。

「それに、三人ともが仲良く歩いているのを見て、拙者も『おとう』と『おかあ』を思い出し、ついつい・・・ちょっかいを出したくなってござる」

だそうだ。そして、暗い倉庫に誘い込み、私を化かした、というわけだ。
もちろん、ダリは最初から芝三郎に気づいていたが・・・・

「面白かったでな。様子を見てみた。それにああいうのを、人の子は『えんたーていめんと』というて楽しむのではないのか?」
などと笑っていた。絶対に、私がビビっているところを楽しんでいたに違いない。本当にムカつく!
狸のいたずらを見ている内に、狐の本能が騒いだらしい。やっぱり、ダリも妖怪なのだ。

こんな話をしているうちに、一人と二匹が食事を終える。

なんか、色々どっと疲れたぞ。

「じゃあね。もう帰るから・・・芝三郎も元気でね」
手をひらひらと振る。とにかく帰って寝たい。一生分叫んだ気分だ。そもそも、ちびっているので早く風呂に入りたい。
「げんきでね〜!」
清香ちゃんが私の真似をする。

「ちょっと!ちょっとお待ちくだされ!」
「あ?」
だいぶ私は機嫌が悪いようだ。なんか、低い声が出た。

「お願いがござる。どうか、どうか!」
芝三郎が追いすがり、額づいてお願いしてきた。

「拙者を、淡路の国に連れて行ってくだらんか・・・」

・・・ぱちくり・・・ぱちくり・・・私はまばたきをする。

「え?・・・・やだよ。」
素で、答えた。やっぱり、声は低かった。
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