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天狐あやかし秘譚
第83章 一業所感(いちごうしょかん)

リンと美しい音が鳴り響く。
リン、リンと清浄な音があたりを包んでいった。
九条のひたいに汗が滲む。天乙貴人を制御する土御門も必死に呪力を絞り出していた。
ダリが槍を強く握る。その手に血が滲み、食いしばりすぎた歯がギリギリと音を立てる。彼もまた強く、強く願っていた。
『逝くな・・・戻れ・・・戻れ!・・・』
綾音!!
瞬間、あたりに光が満ちた。
それは死返玉に注がれた祓衆とダリの呪力が生み出した光
天乙貴人が放つ霊光
そして、もうひとつ・・・
九条は眼前の光景に、目を疑った。
光の中から二人の人の腕が伸びてきたのだ。
そして、続いて何本もの人の手が。
それらは、片霧麻衣が握りしめるように持っている死返玉を、麻衣の手ごと包むようにしていった。幾重にも、幾重にも重なる多くの人の手。
その力が加わって、光が、さらに一段、大きくなった。
ー行ける・・・!
「ふるのごと
みちさかしらにして・・・」
「とりかえさむ!」
その言葉とともに空間が、真っ白に染まっていった。
リン、リンと清浄な音があたりを包んでいった。
九条のひたいに汗が滲む。天乙貴人を制御する土御門も必死に呪力を絞り出していた。
ダリが槍を強く握る。その手に血が滲み、食いしばりすぎた歯がギリギリと音を立てる。彼もまた強く、強く願っていた。
『逝くな・・・戻れ・・・戻れ!・・・』
綾音!!
瞬間、あたりに光が満ちた。
それは死返玉に注がれた祓衆とダリの呪力が生み出した光
天乙貴人が放つ霊光
そして、もうひとつ・・・
九条は眼前の光景に、目を疑った。
光の中から二人の人の腕が伸びてきたのだ。
そして、続いて何本もの人の手が。
それらは、片霧麻衣が握りしめるように持っている死返玉を、麻衣の手ごと包むようにしていった。幾重にも、幾重にも重なる多くの人の手。
その力が加わって、光が、さらに一段、大きくなった。
ー行ける・・・!
「ふるのごと
みちさかしらにして・・・」
「とりかえさむ!」
その言葉とともに空間が、真っ白に染まっていった。

