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天狐あやかし秘譚
第83章 一業所感(いちごうしょかん)
☆☆☆
「麻衣ちゃん、九条さん、土御門さん、瀬良さん、左前さん、祭部や祓のみんな・・・そしてもちろんダリ・・・。誰ひとり欠けても、私、帰ってこれなかったんだよね・・・」

まだ、ちょっと起き上がるのは辛いけど、よっこらしょと身体を起こして、ダリと一緒に窓の外を見た。窓の外にはちょうど立派な樹が大きく枝を伸ばしていた。そこに茂る新緑の緑が目に眩しい。

「あと、九条さんが言っていた、最後に現れた腕って・・・?」
「ああ、おそらくは、麻衣とやらの両親(ふたおや)、それから麻衣が救おうとした町の人達だろう・・・
 両親は娘を助けるために、娘に助けさせるために現れ、町の人達は麻衣の想いに応えた・・・のかもしれぬ」

そうか・・・
麻衣ちゃんの両親、あの場にいたんだな・・・。

「麻衣ちゃん、少しでもお父さんやお母さんとお話・・・できたのかな・・・」
「どうだろうな。通常は、常世のものと話すことなど、ありえぬことだからな」

実は、私は、死んでいる間のことで少しだけ覚えていることがあったのだ。
黄泉に落ちそうになった私の腕を二人の人が必死に掴んでくれていた。

ひとりは、メガネを掛けた男性
もうひとりは、ふくよかな女性

そして、その二人の手を補助するように、たくさんの手が私の腕を引いてくれた。

気がついたら私の生命はぐいと身体に引き戻されていたんだ。
そして、身体に生命が重なった瞬間、周囲にまばゆいほどの光が溢れていた。

その光の中で、先程の二人の人が、こちらに向かって頭を下げていた。
本当に一瞬だったから、確かなことは言えないけれども、その唇はニッコリと笑っているように、私には見えたのだ。
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