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天狐あやかし秘譚
第83章 一業所感(いちごうしょかん)

「貴様!」
「控えろ!」
その主へのあまりの無礼な行為に、スクセとキヌギヌが恐れも忘れ、声を荒げた。
「いいよ、スクセ、キヌギヌ・・・
ふうん。ヤギョウ・・・ここを出るのかい?」
《ぐる・・むるぅ・・・》
『もとより・・・黄泉から【それ】を持ち帰るのが主との盟約が故・・・』
《ぐぅう、ぐぐる》
っ!?
その最後の音が意味することが伝わった瞬間、スクセとキヌギヌの全身の毛穴が逆立つ。二人は咄嗟にそれぞれの神宝を構え戦闘態勢を取った。
「やめないか、ふたりとも!」
二人の巫女を諌め、緋紅がもう一度ヤギョウの背中に目をやる。一旦立ち止まったヤギョウは再びゆっくりと歩き始めた。
「ま、いいや。せいぜい、頑張ってくれよ・・・な」
緋紅は興味を失ったかのように座り直し、ひらひらと手を振った。
「「緋紅様!」」
そのあまりに投げやりな様子に、二人の巫女は抗議の声を挙げる。
なぜ、この二人の巫女がこれほどまでに殺気立っているのか。それは、先程のヤギョウの言葉のせいだった。
ヤギョウはこう言ったのだ。
『我がこの国を、いただく』
と。
「控えろ!」
その主へのあまりの無礼な行為に、スクセとキヌギヌが恐れも忘れ、声を荒げた。
「いいよ、スクセ、キヌギヌ・・・
ふうん。ヤギョウ・・・ここを出るのかい?」
《ぐる・・むるぅ・・・》
『もとより・・・黄泉から【それ】を持ち帰るのが主との盟約が故・・・』
《ぐぅう、ぐぐる》
っ!?
その最後の音が意味することが伝わった瞬間、スクセとキヌギヌの全身の毛穴が逆立つ。二人は咄嗟にそれぞれの神宝を構え戦闘態勢を取った。
「やめないか、ふたりとも!」
二人の巫女を諌め、緋紅がもう一度ヤギョウの背中に目をやる。一旦立ち止まったヤギョウは再びゆっくりと歩き始めた。
「ま、いいや。せいぜい、頑張ってくれよ・・・な」
緋紅は興味を失ったかのように座り直し、ひらひらと手を振った。
「「緋紅様!」」
そのあまりに投げやりな様子に、二人の巫女は抗議の声を挙げる。
なぜ、この二人の巫女がこれほどまでに殺気立っているのか。それは、先程のヤギョウの言葉のせいだった。
ヤギョウはこう言ったのだ。
『我がこの国を、いただく』
と。

