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天狐あやかし秘譚
第86章 能鷹隠爪(のうよういんそう)
薬は彼女らが『薬屋』と呼ぶ人から渡されていた。これもまたあくどくて、いわゆる違法薬物の売人みたいな人ではなく、普通の大手チェーン店の薬剤師が『薬屋』となっていた。まさか少女たちも、町中にある『マツモト◯ヨシ』とか『◯ギ薬局』の薬剤師が自分たちを毒牙にかけるような『薬』を渡してくるとは夢にも思っていなかっただろう。

これは、鴻上が開発した「絶対にバレない違法薬物」があってこそできる芸当だった。いくら摘発されても、普通に調べればただの「ラムネ」だからである。

捕まっていた少女たちは、幸いなことに『赤色』の支配下にあったときのことを殆ど覚えていないということだった。ただ、念の為、しばらくは検査及び監禁に伴う精神的影響の精査・治療という名目で宮内庁病院に入院させることになっている。その間に、身体的な損傷の治療と、トラウマ記憶の消去を行う予定とのことだった。

ー土門は何も言わなかったが、当然、日暮もそれなりの目にあってるはず・・・じゃねえのかよ・・・?

御九里はじっと日暮を見ていた。日暮はなんだか楽しそうに、持っているリュックから何かを取り出していた。

「身体とか・・・大丈夫なのか?」

思わず声を掛ける。

「はい!大丈夫です!それから・・・あの・・・」

手に可愛らしいデザインの手提げの紙袋を持っていた。何やら顔を赤らめてモジモジしている。

ーん?

「た・・・助けてくださって・・・ありがとうございます!
 ほ、本当は、手作りにしたかったんですけど・・・こ、今度持ってきますから!」

ずい、と手提げ袋を差し出され、思わず御九里は受け取ってしまう。

ーえ?え?

「私、捕まってるときのこと、殆ど覚えていなかったんです・・・でも、怖くて、心細かったのは覚えています。多分ひどいこと、いっぱいされたんだと思うし、あのままだったらきっと私、帰ってこれなかった・・・でも・・・
 目が覚めたら・・・」

月明かり中、あなたがいた・・・

日暮がうっとりと御九里を見つめる。その手は胸の前で組まれ、目はうるうると濡れたように輝いていた。

「あ・・・やだ!私ったら、ごめんなさい・・・でも、でも・・・すごくうれしくて、あの、だ・・・だから・・今度、デー・・・じゃなかった、お食事をお・・奢らせてください!」
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