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天狐あやかし秘譚
第86章 能鷹隠爪(のうよういんそう)

ペコリと頭を下げると、ぴゅーっと走り去ってしまった。おそらく、自分の衆の事務室に行ったのだろう。
「あーあ・・・完全にロックオンなのです」
「ひゃああ!!」
一体あれは何なんだと、日暮を見送っていた御九里に、背後から土門が突然声をかけた。
「な、土門・・・様!?」
ーなんであんたまで祓衆の事務室に来てんだよ!
その言葉を御九里は必死に飲み込む。土門はにやにやと笑いながら、御九里の肩に肘をかけて言った。
「日暮は処女なのです・・・そして、すっかり、君にほの字なのです・・・三十路の処女に惚れられたとなると・・・これはもう、結婚しかないのです・・・ふふふふふ・・・・」
不気味な笑いを残しながら、土門はそそっと去っていった。
ーそ・・・それだけを言いに!?
呆然とする御九里の手から、ぽとりと、先程日暮から渡された手提げが地面に落ちる。紙袋の中身は、愛がいっぱい詰まった、可愛らしいハート型クッキーの詰め合わせ、だった。
「あーあ・・・完全にロックオンなのです」
「ひゃああ!!」
一体あれは何なんだと、日暮を見送っていた御九里に、背後から土門が突然声をかけた。
「な、土門・・・様!?」
ーなんであんたまで祓衆の事務室に来てんだよ!
その言葉を御九里は必死に飲み込む。土門はにやにやと笑いながら、御九里の肩に肘をかけて言った。
「日暮は処女なのです・・・そして、すっかり、君にほの字なのです・・・三十路の処女に惚れられたとなると・・・これはもう、結婚しかないのです・・・ふふふふふ・・・・」
不気味な笑いを残しながら、土門はそそっと去っていった。
ーそ・・・それだけを言いに!?
呆然とする御九里の手から、ぽとりと、先程日暮から渡された手提げが地面に落ちる。紙袋の中身は、愛がいっぱい詰まった、可愛らしいハート型クッキーの詰め合わせ、だった。

