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天狐あやかし秘譚
第10章 合歓綢繆(ごうかんちゅうびゅう)
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【合歓綢繆】男女が深く愛し合うこと。男女の睦みあいのこと。
喜びを分かち合ってくんずほぐれず、絡み合っちゃうぞ、みたいな。
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熱いシャワーを浴びると、一日の汚れが全てスッキリと洗い流されていくように感じる。裸身が水滴を玉のように弾く。
肌の白さ、滑らかさは私の密かな自慢だった。

高いところから落ちる湯の雨を顔から浴びる。水が流れ落ちる音に包まれるのは嫌いじゃなかった。シャワーを止め、ボディソープを十分に泡立てて、隅々まで身体を綺麗にする。この後のことを考え、秘所に関しては念入りに洗う。

脇のムダ毛はきちんと処理してあるし、恥毛に関してもさほど多くない。ホテルのバスルームの鏡に映る姿は、まだ性の悦びを知らない乙女にも見えるくらいだろう。

しかし、私の身体は、隅々まで、それこそあらゆる性感帯、腟内から菊門の内に至るまで、あの人の指や舌が入り込んでいないところはないくらい愛されつくされている。

仕事・・・これは、仕事・・・。

そう念じるが、これからのことを考えると、どうしても陰部は熱く湿り気を帯び、湯とは違う液体をにじませ、吐き出していく。期待、したくないと思っているはずなのに、乳首は固く勃起し、否が応でも自分が興奮していることを自覚させられる。

仕事だから・・・。

もう一度言い聞かせる。あまり長くシャワーに入ってると、あの人が焦れて乱入してくるかもしれない。それは避けたい。少しでも長く主導権を取っておきたい。無駄、かもしれないけど。
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