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天狐あやかし秘譚
第98章 大信不約(たいしんふやく)
☆☆☆
ひいぃいいっ!

深夜に近い東京郊外の町を、私、浦原綾音は疾走していた。格好は先程までのピンクのルームウェアからちょっとゆったりしたウォッシュアウトのジーパンに白い半袖Tシャツに着替えている。足元は走りやすいようにスニーカーを着用。

その格好で、私はひたすらに町を駆け抜けていた。

何故か?

ちらりと後ろを振り返ると、うぞうぞと先程見たよりも多くの魑魅が私をめがけて追いすがってくるのが見える。あるものは地を這い、あるものは空をふわふわと浮遊し、そしてあるものは地面をペタペタといやらしい音を立てながら歩いてくる。目も口も鼻もわからないような姿、ねっとりとした闇が凝ったようなソレらが追いかけてくるのだ。

こ、怖いよぉ・・・!

こんな事になったのは、先程の佐那の『妙案』のせいだった。

佐那は言った。
『綾音様のお母様である朱音殿は稀なる質(たち)をお持ちでございます。周囲一里ほど離れたところから妖怪変化を引き付けてしまうのです。あれなる魑魅は朱音殿の力にて惹きつけられしモノ。従いまして、同じ質をお持ちである綾音様なれば、それを別のところに引き付けることもありうべしと存じます!』

母が持つ『妖怪を引き付ける力』を私も引き継いでいるらしい。私のそれはまだ覚醒しきっていないようで、そのお陰でこれまでの人生では大した被害はなかったらしい。それに、ダリと出会ってからこっちは、そもそも雑霊が寄ってきたところで彼が一掃してくれていたようなのだ。

『大した影響はなかったはずだ』と佐那は言うが、どうだろう。振り返ってみれば私、学生の時分からなにかと運が悪かったり、怪我をしそうになったりすることが多かったように思う。そして、極めつけは社会人になってからのあの一連の不運だ。あれももしかしたら母から受け継いだこの『体質』のせいだったのかもしれない。だとしたら影響大有りだ。

うう・・・お姉ちゃんや翔はそんなことないのに・・・

なんとなく、納得がいかない。

などと考えているうちに、次第に目的地が近づいてきた。

そう、佐那の作戦では母の体質を桔梗の結界で隠した上で、私にかかっていたダリの加護を解き、その結果剥き出しになった私の『体質』でもって魑魅達を人気のないところに引きつけようというものだったのだ。
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