この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
天狐あやかし秘譚
第98章 大信不約(たいしんふやく)
☆☆☆
フシュウウウ・・・・

『それ』は空気の匂いを嗅いでいた。
約束された獲物の匂いだった。『それ』は思っていた。

自分は、十分に待った、と。

目を細めて思い出す。あれからオレはちゃんと10年、待った。
母の願いを聞いてやった。それ以上に、獲物が熟すのを待っていた。

10年前、縄張りにしていた山に迷い込んできた母娘を襲った。
その母娘の匂い・・・決して忘れない・・・。

母は髪の長い、色の白い女だった。
娘はまだ幼く食うところがほとんどなかった。

あゝ・・・あの『母』は美味かったなあ・・・。
あの芳醇な血の香り、やわからな肉の歯ざわり、むしゃぶりついた時の断末魔の悲鳴。

命乞いをしてたっけなあ・・・必死で、必死でなあ・・・
『この娘だけは・・・涼華だけは・・・助けて!』
と。

5歳に満たない娘を庇って、自らをオレに差し出した母親。
10年待ってやると言ったら、それでもいいからと・・・泣いて、泣いて・・・

粘っこいよだれが、『それ』の口からだらりと垂れた。ビル風に吹かれてそれは飛び散っていく。

オレの『印』はどんなに洗ってもこすっても消えやしない。
10年経とうが消えやしない。

山からでも、お前の居場所をオレに教える。
この街にいるな?今、いるな・・・?

あゝ・・・そうだ、そうだよ・・・あの母の娘だ。
美味に違いない。
/1394ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ