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天狐あやかし秘譚
第99章 焦眉之急(しゅうびのきゅう)
いざとなったときだけ、最後の瞬間だけ、代わってもらおう。
そう心に置きながら、街に出ていく。

『あ、綾音様、あちらの男子などはいかがでしょう?』
『いや、彼女連れじゃない!』
『女子の方も術にかければ・・・』
『そんなんダメよ!』

『あ、あちらの二人組は?この際、ふたり同時に・・・』
『さ・・・3Pとかちょっと、何考えてるのよ!』

などなど・・・どうしても抵抗があるものだからのらりくらりとしてしまうが、そんなことをしていたら、佐那が本当に消滅してしまう。・・・ええい、ままよ、と結局ひとりで買い物に来ている様子の真面目そうな20代後半くらいの男性にターゲットを絞ることにした。

黒い髪を短く端正に切りそろえている。少し太い黒縁の眼鏡に、白Tシャツに紺の薄手のジャケット、ラフなチノパンというこざっぱりとした出で立ちだった。顔立ちは特にめちゃくちゃイケメンというわけではなかったが、清潔感があるのが好印象だった。

やっと合意が取れたということで、佐那がお腹の中でくるんと嬉しそうに回っている・・・ような気がした。

『では、術をかけますが故、声をかけてください』

言われるがままに、私はその男性に近寄り『すいません』と声を掛ける。振り返った男性は、男性の割には肌がキレイだった。

「はい?」
「あの・・・渋谷駅ってあっちで良かったでしょうか?」
「えっと・・・」

そう言って、私が指さした方向に男性が目をやった時、『私』の手が勝手に動いて彼の右手を両手で握りしめた。

「え?」
それに驚いてこちらを見たその目を、『私』の目が捉える。もし、このシーンを端から見た人がいたら、その時『私』の両目がぬらりと妖しく桃色に光ったように見えただろう。

「あ・・・あぁ・・・」
男性の目から意志の光が消える。どうやら完全に佐那の術中に落ちたらしかった。

『ふふん♪この地狐・佐那にかかれば、人間の男のひとりやふたり!容易いことですわ!さ、綾音様、コンサートが終わるまであと2時間ほど・・・これだけあれば、2発はいけますわ!』

2・・・2発とか言うな!

とにかくここまできたら覚悟を決めるしかない。私は佐那の術に落ちたばかりでまだふらふらとしている男の手を引いて、予定していたホテル・・・ラブホテルに入っていった。
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