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天狐あやかし秘譚
第99章 焦眉之急(しゅうびのきゅう)
☆☆☆
ちょっと裏通りにあるホテル『アイリス』。フロントで適当に選んだ部屋は黒を基調にしたシックなデザインの部屋だった。
手狭と言えば手狭だけど、目的が『滞在』ではなく『えっち』なので、これでもいいのかもしれない。
じゃーじゃーと浴室からシャワーを浴びる音がしている。最初に私がシャワーを浴びた後、今は彼がシャワーを使っているのだ。彼に掛けられた暗示によって、彼は私にぞっこんの恋人・・・ということになっている。とても親切で紳士的な振る舞いだ。がっついてくることもないし、シャワーをちゃんと最初に浴びさせてくれて、出てきたら冷たい飲み物まで用意してれていた。多分、いい人なんだろう、もともと。
で、でも・・・考えてみれば・・・。
ラブホテルって初めて入るかも。
ダリとエッチするのは綿貫亭か、出張したときに土御門が用意してくれた結構豪華なホテルや旅館ばかりだった。(たまに『野球場』とかいうイレギュラーはあったけど・・・)こうしてラブホテルに入るなんて、私の人生初体験だった。
見回してみると、ベッドテーブルにはさり気なく使い切りのホットローションやコンドームが置かれており、ベッドの足元の方の壁に据えられているテレビはエッチな番組をただで見られるような仕様になっているらしい(私は見てないよ!)。
ここが普通のホテルではないことを如実に示していた。
「綾音・・・お待たせ・・・寒くない?」
彼の名はヒロトシというらしい。漢字がわからないが『博敏』とか『浩俊』とか書くのだろう。うう・・・ごめんなさい、ヒロトシさん。
「あ・・・うん・・・だ、大丈夫・・・その・・・」
素肌にバスローブを纏っただけでベッドに腰を掛けてカチコチになっている私の横に、するりとヒロトシさんが座ってくる。お風呂に入ったばかりのしっとりとした空気が肌に感じられて、どきりとしてしまう。
ボディシャンプーの匂いだろうか、私も同じものを使ったはずなのに、彼のそれをより強く感じる。その奥にある男性特有の体臭も・・・。
「綾音・・・今日は綾音から誘ってくれるなんて・・・とても嬉しかったよ?」
肩に手がかかる。それだけで私の身体はビクン、と震えてしまって・・・。
ちょっと裏通りにあるホテル『アイリス』。フロントで適当に選んだ部屋は黒を基調にしたシックなデザインの部屋だった。
手狭と言えば手狭だけど、目的が『滞在』ではなく『えっち』なので、これでもいいのかもしれない。
じゃーじゃーと浴室からシャワーを浴びる音がしている。最初に私がシャワーを浴びた後、今は彼がシャワーを使っているのだ。彼に掛けられた暗示によって、彼は私にぞっこんの恋人・・・ということになっている。とても親切で紳士的な振る舞いだ。がっついてくることもないし、シャワーをちゃんと最初に浴びさせてくれて、出てきたら冷たい飲み物まで用意してれていた。多分、いい人なんだろう、もともと。
で、でも・・・考えてみれば・・・。
ラブホテルって初めて入るかも。
ダリとエッチするのは綿貫亭か、出張したときに土御門が用意してくれた結構豪華なホテルや旅館ばかりだった。(たまに『野球場』とかいうイレギュラーはあったけど・・・)こうしてラブホテルに入るなんて、私の人生初体験だった。
見回してみると、ベッドテーブルにはさり気なく使い切りのホットローションやコンドームが置かれており、ベッドの足元の方の壁に据えられているテレビはエッチな番組をただで見られるような仕様になっているらしい(私は見てないよ!)。
ここが普通のホテルではないことを如実に示していた。
「綾音・・・お待たせ・・・寒くない?」
彼の名はヒロトシというらしい。漢字がわからないが『博敏』とか『浩俊』とか書くのだろう。うう・・・ごめんなさい、ヒロトシさん。
「あ・・・うん・・・だ、大丈夫・・・その・・・」
素肌にバスローブを纏っただけでベッドに腰を掛けてカチコチになっている私の横に、するりとヒロトシさんが座ってくる。お風呂に入ったばかりのしっとりとした空気が肌に感じられて、どきりとしてしまう。
ボディシャンプーの匂いだろうか、私も同じものを使ったはずなのに、彼のそれをより強く感じる。その奥にある男性特有の体臭も・・・。
「綾音・・・今日は綾音から誘ってくれるなんて・・・とても嬉しかったよ?」
肩に手がかかる。それだけで私の身体はビクン、と震えてしまって・・・。

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