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天狐あやかし秘譚
第101章 純粋一途(じゅんすいいちず)
すっかり怯えて硬直している私たちを見て、獣がゆっくり、ゆっくりと近づいてくる。じゃり、じゃり、じゃり、という音が、死へのカウントダウンを刻んでいるかのようだった。
石釘を・・・スマホを・・・
そう思うのだが、指先ひとつ動かせない。それどころか、声を上げることすらできなかった。
目の前まで来た獣がまた、口を大きく釣り上げるような歪な笑みを浮かべる。そのまま大きく口を開いていく。生臭い息がかかるが、それでも私の身体は言うことを聞かなかった。
もう・・・ダメ!!
走馬灯、という言葉がある。今が、死の寸前ならそれが駆け巡ってもおかしくはない。しかし、私の頭は真っ白なまま、何も思い浮かべることがない。心を塗りつぶすような圧倒的な恐怖の中、私は人生の最期を迎えようとしていた。
ただ、この時、その凍りついたような心の端っこで、微かに何者かの声を聞いたような気がした。それは必死に私に呼びかける声だった。
『綾音さまーーーーっ!!!』
石釘を・・・スマホを・・・
そう思うのだが、指先ひとつ動かせない。それどころか、声を上げることすらできなかった。
目の前まで来た獣がまた、口を大きく釣り上げるような歪な笑みを浮かべる。そのまま大きく口を開いていく。生臭い息がかかるが、それでも私の身体は言うことを聞かなかった。
もう・・・ダメ!!
走馬灯、という言葉がある。今が、死の寸前ならそれが駆け巡ってもおかしくはない。しかし、私の頭は真っ白なまま、何も思い浮かべることがない。心を塗りつぶすような圧倒的な恐怖の中、私は人生の最期を迎えようとしていた。
ただ、この時、その凍りついたような心の端っこで、微かに何者かの声を聞いたような気がした。それは必死に私に呼びかける声だった。
『綾音さまーーーーっ!!!』

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