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天狐あやかし秘譚
第101章 純粋一途(じゅんすいいちず)
その瞬間、世界から音が消えた。
術師の呪言も、男の声も、女の声も、何もかも。
世界が真っ白に塗りつぶされる。
バリバリバリバリバリ!!!
一瞬の光の後を追うように、今度は聞いたこともないような轟音が辺りを満たした。
そして、その後に起こったことを、その光景を、私は生涯忘れることはないと思った。
天から、猛る雷に包まれ、美しい男が降りてきた。
位の高い人が着る衣を翻し、背までの髪をたなびかせ、細く切れ長の目は、慈愛たたえて私を見つめた。
彼の人は、狐の尾と耳を持っていた。
それは、彼が私と同じ種族であることを意味していた。
『て・・・天狐っ!!』
術師が眩しさに目をすがめながら、呻くようにその名を呼ぶ。
天狐・・・様・・・
私がそう思った時、トン、と大地に天狐様が足をつく。そして、おもむろにその右の手を軽くひと振りした。たったそれだけの所作で、術師も里人も全てを吹き飛ばすほどの大風を呼んでみせた。
ぎゃあああ!!
きゃあっ!!
一瞬の悲鳴、先程まで私を追い詰めていた術師すらあっという間に吹き飛ばしてしまった。そして、あたりに静寂が訪れた。
「主・・・怪我は、ないか?」
倒れていた私を優しく抱き上げた彼は、これまで見たどんな者よりも、強く、そして、美しかった。その胸に抱かれた私は、そのまま気を失ってしまったのだった。
術師の呪言も、男の声も、女の声も、何もかも。
世界が真っ白に塗りつぶされる。
バリバリバリバリバリ!!!
一瞬の光の後を追うように、今度は聞いたこともないような轟音が辺りを満たした。
そして、その後に起こったことを、その光景を、私は生涯忘れることはないと思った。
天から、猛る雷に包まれ、美しい男が降りてきた。
位の高い人が着る衣を翻し、背までの髪をたなびかせ、細く切れ長の目は、慈愛たたえて私を見つめた。
彼の人は、狐の尾と耳を持っていた。
それは、彼が私と同じ種族であることを意味していた。
『て・・・天狐っ!!』
術師が眩しさに目をすがめながら、呻くようにその名を呼ぶ。
天狐・・・様・・・
私がそう思った時、トン、と大地に天狐様が足をつく。そして、おもむろにその右の手を軽くひと振りした。たったそれだけの所作で、術師も里人も全てを吹き飛ばすほどの大風を呼んでみせた。
ぎゃあああ!!
きゃあっ!!
一瞬の悲鳴、先程まで私を追い詰めていた術師すらあっという間に吹き飛ばしてしまった。そして、あたりに静寂が訪れた。
「主・・・怪我は、ないか?」
倒れていた私を優しく抱き上げた彼は、これまで見たどんな者よりも、強く、そして、美しかった。その胸に抱かれた私は、そのまま気を失ってしまったのだった。

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