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天狐あやかし秘譚
第124章 二転三転(にてんさんてん)
☆☆☆
くそ!何だよ、これ・・・っ!
京都支部、祓衆の陰陽師である鍵岡は心の中でぼやきながら、その握りしめた刃のついた鉄拳ごと右の拳を、跳ね回る小妖魔の一体に叩きつける。その切り裂かれた先から妖魔は青白い炎に包まれ、断末魔の悲鳴とともに塵となって消えていく。
鉄拳に刻んだ呪紋に術者の霊力を注ぎ、火のないところでも退魔の炎を燃え上がらせる鍵岡家宗家に伝わる秘技だった。
名を『蒼炎操呪』と言う。
術者の体術と相まって、一対一の戦闘では無類の強さを誇る術式であるが、このような乱戦では、かなり分が悪い。拳ひとつで一体の妖魔を祓うのが精一杯なのだ。
ご先祖様を恨みゃしねえが・・・もうちっと、範囲攻撃ができる術式を残してくれても良かったのに・・・よっ!
振り返りしな、後ろから忍び寄ってきた2羽のカラスの厭魅を切り裂いていく。
キリがねえ・・・
鍵岡は周囲を見渡して戦況を把握しようとする。自分と同じ祓衆が前に出て積極的に妖魔を切り裂き、調伏する一方、背後からは祭部の術者たちが、幾重にも結界を張り、妖魔たちを広範囲に散らさないように、また、中の妖魔の妖力を少しでも弱らせるように念を絞っていた。
20メートルほど先に細身の女が立っている。一見するとそこらの街にいるストリートファッションの女性・・・いや、少女と言ってもいい歳だ。しかし、それが背負っている瘴気は尋常ではない。
本来は、あいつを叩くべきなのだ。それは分かっているが・・・っ!
鍵岡が前に出ようとすると、またたく間に妖魔たちが群がってくる。それを切り裂き、殴り倒し、時には蹴り技も交えて、いなしていく。自身が妖魔の餌にならないように追い払うのに精一杯なのだ。
それはどの術者も同じである。
百鬼夜行かよ・・・
最初は無鉄砲に突っ込んでくるばかりだった妖魔たちが次第に組織的な動きを見せ始めているのも厄介だった。右手からカラスたちが、上から炎の龍が、そして、正面から猿の妖魔が、おまけに左手からは大男が拳を振り上げて襲いかかってくる。
チッ・・・。
鍵岡は短く舌打ちをする。
こんなことならさっさと異動願い出しとけば良かったぜ!
くそ!何だよ、これ・・・っ!
京都支部、祓衆の陰陽師である鍵岡は心の中でぼやきながら、その握りしめた刃のついた鉄拳ごと右の拳を、跳ね回る小妖魔の一体に叩きつける。その切り裂かれた先から妖魔は青白い炎に包まれ、断末魔の悲鳴とともに塵となって消えていく。
鉄拳に刻んだ呪紋に術者の霊力を注ぎ、火のないところでも退魔の炎を燃え上がらせる鍵岡家宗家に伝わる秘技だった。
名を『蒼炎操呪』と言う。
術者の体術と相まって、一対一の戦闘では無類の強さを誇る術式であるが、このような乱戦では、かなり分が悪い。拳ひとつで一体の妖魔を祓うのが精一杯なのだ。
ご先祖様を恨みゃしねえが・・・もうちっと、範囲攻撃ができる術式を残してくれても良かったのに・・・よっ!
振り返りしな、後ろから忍び寄ってきた2羽のカラスの厭魅を切り裂いていく。
キリがねえ・・・
鍵岡は周囲を見渡して戦況を把握しようとする。自分と同じ祓衆が前に出て積極的に妖魔を切り裂き、調伏する一方、背後からは祭部の術者たちが、幾重にも結界を張り、妖魔たちを広範囲に散らさないように、また、中の妖魔の妖力を少しでも弱らせるように念を絞っていた。
20メートルほど先に細身の女が立っている。一見するとそこらの街にいるストリートファッションの女性・・・いや、少女と言ってもいい歳だ。しかし、それが背負っている瘴気は尋常ではない。
本来は、あいつを叩くべきなのだ。それは分かっているが・・・っ!
鍵岡が前に出ようとすると、またたく間に妖魔たちが群がってくる。それを切り裂き、殴り倒し、時には蹴り技も交えて、いなしていく。自身が妖魔の餌にならないように追い払うのに精一杯なのだ。
それはどの術者も同じである。
百鬼夜行かよ・・・
最初は無鉄砲に突っ込んでくるばかりだった妖魔たちが次第に組織的な動きを見せ始めているのも厄介だった。右手からカラスたちが、上から炎の龍が、そして、正面から猿の妖魔が、おまけに左手からは大男が拳を振り上げて襲いかかってくる。
チッ・・・。
鍵岡は短く舌打ちをする。
こんなことならさっさと異動願い出しとけば良かったぜ!

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