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天狐あやかし秘譚
第15章 進退両難(しんたいりょうなん)

☆☆☆
土御門を投げ飛ばした後、ダリは槍の石づきを地面に突き立てて跪き、呪言を奏上した。
「いにしへの しづのおだまき 逆しらにせよ
玉の緒の 世々のつぐ夜の くりかえせやも」
ダリの槍を中心に弾けた空間が凝集をし始める。
ここでダリが使った術は神器を用いた時間停止の術式であった。鬼道を封じることができない以上、時間を停止し、その被害を食い止めようというのである。
この時、ダリの妖力が先程の一撃で大分削れていることが大きな問題だった。
残り少ない自分の妖力で、無尽蔵に鬼道から溢れ出す高密度の妖力の奔流を封じ込める事ができるか・・・そこはギリギリの戦いだった。
だが、この方法しか、今のダリには思いつかなかったのである。
これが溢れれば、綾音に害が及ぶ。それだけは避けなければいけなかった。
ぐっと、槍を握る手に力を込めた。
土御門を投げ飛ばした後、ダリは槍の石づきを地面に突き立てて跪き、呪言を奏上した。
「いにしへの しづのおだまき 逆しらにせよ
玉の緒の 世々のつぐ夜の くりかえせやも」
ダリの槍を中心に弾けた空間が凝集をし始める。
ここでダリが使った術は神器を用いた時間停止の術式であった。鬼道を封じることができない以上、時間を停止し、その被害を食い止めようというのである。
この時、ダリの妖力が先程の一撃で大分削れていることが大きな問題だった。
残り少ない自分の妖力で、無尽蔵に鬼道から溢れ出す高密度の妖力の奔流を封じ込める事ができるか・・・そこはギリギリの戦いだった。
だが、この方法しか、今のダリには思いつかなかったのである。
これが溢れれば、綾音に害が及ぶ。それだけは避けなければいけなかった。
ぐっと、槍を握る手に力を込めた。

