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天狐あやかし秘譚
第15章 進退両難(しんたいりょうなん)

☆☆☆
鬼道が開き、数万の女怪が溢れ出した、その同時刻。
「何・・・あれ・・・?」
1キロほど先のマンションから妖気が爆発的に立ち上がったのを感じた。いや、感じただけではない、実際に視認できた。
その妖気の波はあっという間に周囲に広がり、当然、この敷島が張っている結界の中心にも打撃を加えてきた。
「きゃあ!」
「ぐあ」
敷島と彼女を守っていた御九里が同時に手で顔を覆う。無意識に妖気の奔流のダメージを少しでも減らそうとしたのだ。それだけ、ものすごい、妖気の奔流だった。
ダメ!結界が壊れる!
バン!バン!
バン!バン!
なんとかギリギリで保っていた結界が、妖気の奔流にあてられオーバーヒートする。四方の金属符が衝撃を吸収できず、一気に弾けた。そして、金属符の消失と共に結界が力を失い、3キロ圏内の女怪がゆっくりと現世に顕現し始めてしまった。それらは、鬼道からあふれる妖力を得て、更に強くなっていく。
いけない!このままじゃ、数万の実体を持った厭魅が街中にあふれてしまう!
なんとかしなくてはと思うのだが、敷島も御九里も自分の体を強大な妖気から守るので精一杯である。とてもじゃないけど、もう一度結界を張り直すことなどできない。
助けて!
敷島が心の中で叫ぶ。
こんな時、彼女が頼れるのはたった一人だった。
助けて・・・!
大鹿島様!
鬼道が開き、数万の女怪が溢れ出した、その同時刻。
「何・・・あれ・・・?」
1キロほど先のマンションから妖気が爆発的に立ち上がったのを感じた。いや、感じただけではない、実際に視認できた。
その妖気の波はあっという間に周囲に広がり、当然、この敷島が張っている結界の中心にも打撃を加えてきた。
「きゃあ!」
「ぐあ」
敷島と彼女を守っていた御九里が同時に手で顔を覆う。無意識に妖気の奔流のダメージを少しでも減らそうとしたのだ。それだけ、ものすごい、妖気の奔流だった。
ダメ!結界が壊れる!
バン!バン!
バン!バン!
なんとかギリギリで保っていた結界が、妖気の奔流にあてられオーバーヒートする。四方の金属符が衝撃を吸収できず、一気に弾けた。そして、金属符の消失と共に結界が力を失い、3キロ圏内の女怪がゆっくりと現世に顕現し始めてしまった。それらは、鬼道からあふれる妖力を得て、更に強くなっていく。
いけない!このままじゃ、数万の実体を持った厭魅が街中にあふれてしまう!
なんとかしなくてはと思うのだが、敷島も御九里も自分の体を強大な妖気から守るので精一杯である。とてもじゃないけど、もう一度結界を張り直すことなどできない。
助けて!
敷島が心の中で叫ぶ。
こんな時、彼女が頼れるのはたった一人だった。
助けて・・・!
大鹿島様!

