この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
天狐あやかし秘譚
第17章 大声疾呼(たいせいしっこ)

私は先程の異界での出来事を思い出していた。
そうだ、彼女は、河西佳苗はこう言っていたじゃないか・・・。
『親からも顧みられず、誰からも助けられず、優しかった男は自分を性欲のはけ口にした』
『なんで許せるんだよ!自分以外の女抱いている男を!嘘ついた男を!なんでだよぉぉぉぉ!!!』
もしかして、あれって、自分のことだったのではないだろうか?
倖田令児は、河西を騙して・・・仲間がいて・・・性欲のはけ口って・・・。
そう思った時、連想で、いやなイメージが私の中に浮かんだ。
河西は、倖田に騙されて、レイプされたのではないだろうか・・・。
もし、そうだとしたら、そうだとしても・・・
『自分以外の女を抱いている、嘘付いている男』なのに『愛してくれるって言った』と。
もし、私の想像通りなら、なんて・・・なんて酷いことなんだ。
「やめろ、やめろ、やめろおおお!連れて行くな、奪うな、取るな!私から・・・私から、もう何も・・・・奪わないでええええ!」
河西の絶叫が響く。その間も鬼道はボロボロと崩れていく。地獄につながる洞が、現世の裂け目が壊れていく・・・。
「がああ!!!!」
最後の力を振り絞ったのか、河西さんが左前を押しのける。
鬼道は既にバスケットボール大くらいにまで削れていた。
「待って・・・ダメ!置いてかないで・・・行かないで!!・・・私も・・・私も・・・」
河西さんが崩れ行く鬼道に向かって走っていく。左前の術を振り切ったせいで女怪が呼び出せるようになったためか、バスケットボール大の鬼道から黒い腕が何本も何本も伸び、それが河西さんを求めるように中空を掻いた。
ダメ・・・このままじゃあ、河西さん、あの手に連れて行かれちゃう。
何故か私は思った。普通に考えれば、バスケットボールくらいの大きさの空間を河西さんが通り抜けられるわけがないのだろうが、このときの私には、河西さんがあの手を掴んで、そのままするりと鬼道の中に吸い込まれるように消えてしまうビジョンが見えていた。
そうだ、彼女は、河西佳苗はこう言っていたじゃないか・・・。
『親からも顧みられず、誰からも助けられず、優しかった男は自分を性欲のはけ口にした』
『なんで許せるんだよ!自分以外の女抱いている男を!嘘ついた男を!なんでだよぉぉぉぉ!!!』
もしかして、あれって、自分のことだったのではないだろうか?
倖田令児は、河西を騙して・・・仲間がいて・・・性欲のはけ口って・・・。
そう思った時、連想で、いやなイメージが私の中に浮かんだ。
河西は、倖田に騙されて、レイプされたのではないだろうか・・・。
もし、そうだとしたら、そうだとしても・・・
『自分以外の女を抱いている、嘘付いている男』なのに『愛してくれるって言った』と。
もし、私の想像通りなら、なんて・・・なんて酷いことなんだ。
「やめろ、やめろ、やめろおおお!連れて行くな、奪うな、取るな!私から・・・私から、もう何も・・・・奪わないでええええ!」
河西の絶叫が響く。その間も鬼道はボロボロと崩れていく。地獄につながる洞が、現世の裂け目が壊れていく・・・。
「がああ!!!!」
最後の力を振り絞ったのか、河西さんが左前を押しのける。
鬼道は既にバスケットボール大くらいにまで削れていた。
「待って・・・ダメ!置いてかないで・・・行かないで!!・・・私も・・・私も・・・」
河西さんが崩れ行く鬼道に向かって走っていく。左前の術を振り切ったせいで女怪が呼び出せるようになったためか、バスケットボール大の鬼道から黒い腕が何本も何本も伸び、それが河西さんを求めるように中空を掻いた。
ダメ・・・このままじゃあ、河西さん、あの手に連れて行かれちゃう。
何故か私は思った。普通に考えれば、バスケットボールくらいの大きさの空間を河西さんが通り抜けられるわけがないのだろうが、このときの私には、河西さんがあの手を掴んで、そのままするりと鬼道の中に吸い込まれるように消えてしまうビジョンが見えていた。

