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天狐あやかし秘譚
第19章 拈華微笑(ねんげみしょう)

☆☆☆
そんなわけで、私とダリは綿貫亭に戻ってきた。ついでに、何かあったときにはご助力します、ということで瀬良も同行してくれる。
清香ちゃんと芝三郎はお庭で遊んでいてもらうことにした。
ダリが再び異界の扉を開く。
そして、またやってきた。あの、大きなけやきがある、『木霊』の世界。
「ここが、『木霊』の異界ですね・・・。おそらく、あの樹が本体の元の姿を模しているのでしょう」
たしかに、私がビジョンで視た樹・・・その中では『私』になっていたのだが・・・によく似ていた。
木霊はその樹の根本に座っていた。相変わらず二人には視えていないようなので、私がその姿を描写してみせた。
足を投げ出すように座っている。俯いて、長い髪が顔にかかって、どんな表情かはわからない。
「多分、先程の天狐様との小競り合いで力をかなり消耗したのだと思います。」
ダリが念の為と槍を取り出そうとしたが、私はそれを止めた。
多分、ダリの退魔の槍はあるだけで彼女を脅かす。先程もそうだった。あの槍が現れてから、木霊の動きが変わり、最後は動けなくなっていた。
瀬良とダリに目配せをし、私は慎重に彼女に近づく。
「あの・・・」
なんて、声かけたらいいのかな?
「ずっと・・・待っていたの?」
私が言うと、彼女が顔を上げた。右目は暗い虚のようだが、左目は普通の人間と変わらない、とてもきれいな目になっていた。
清香ちゃんのときと同じだ。
こちらが敵意を持って接すれば、恐ろしい厭魅の姿になるが、こちらが歩み寄ろうとすると少しずつ私達の姿に近くなる。
こっちの気持ちが大切なんだ。
そんなわけで、私とダリは綿貫亭に戻ってきた。ついでに、何かあったときにはご助力します、ということで瀬良も同行してくれる。
清香ちゃんと芝三郎はお庭で遊んでいてもらうことにした。
ダリが再び異界の扉を開く。
そして、またやってきた。あの、大きなけやきがある、『木霊』の世界。
「ここが、『木霊』の異界ですね・・・。おそらく、あの樹が本体の元の姿を模しているのでしょう」
たしかに、私がビジョンで視た樹・・・その中では『私』になっていたのだが・・・によく似ていた。
木霊はその樹の根本に座っていた。相変わらず二人には視えていないようなので、私がその姿を描写してみせた。
足を投げ出すように座っている。俯いて、長い髪が顔にかかって、どんな表情かはわからない。
「多分、先程の天狐様との小競り合いで力をかなり消耗したのだと思います。」
ダリが念の為と槍を取り出そうとしたが、私はそれを止めた。
多分、ダリの退魔の槍はあるだけで彼女を脅かす。先程もそうだった。あの槍が現れてから、木霊の動きが変わり、最後は動けなくなっていた。
瀬良とダリに目配せをし、私は慎重に彼女に近づく。
「あの・・・」
なんて、声かけたらいいのかな?
「ずっと・・・待っていたの?」
私が言うと、彼女が顔を上げた。右目は暗い虚のようだが、左目は普通の人間と変わらない、とてもきれいな目になっていた。
清香ちゃんのときと同じだ。
こちらが敵意を持って接すれば、恐ろしい厭魅の姿になるが、こちらが歩み寄ろうとすると少しずつ私達の姿に近くなる。
こっちの気持ちが大切なんだ。

