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天狐あやかし秘譚
第3章 【第2話 獄門骸骨】夢幻泡影(むげんほうよう)
置いてある無料のネギをこれでもかと入れ(野菜分)、更に揚げ玉をマシマシにし(カロリー補強)、私とダリは席につき、横並びでうどんを食す。

・・・ずずー。
・・・ずずー。

ちらっと横を見ると、ふーっ、ふーっと無表情でうどんに息を吹きかけては、すする美男子がいる。たまにお揚げを小さくかじる。

やっぱり姿のとおり、貴族なのだろうか?食べかたが上品できれいだ。
箸を持つ手元も涼やかだし、うどんを啜る、という普通なら庶民的な行動すらとても優雅だ。

ただ・・・。

無表情に、上品に食べているが、その後ろで尻尾がぴっこぴっこ、ぴっこぴっこ跳ねるように動いているのが超気になる。

お揚げをひとくち食べてはピコピョコ。
うどんをすすってはピコピコピコ。

もしや、あの尻尾はダリの気持ちを表しているとか?

私は不覚にも、この時、もくもくときつねうどんを食す超絶イケメン妖怪を『可愛い』と思ってしまった。

ついでに言えば、ダリに見惚れるあまり、自分のうどんはすっかりのびてしまった。
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