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天狐あやかし秘譚
第25章 毛骨悚然(もうこつしょうぜん)
その足跡の様子からして、あまり急いでいるようには見えないが、早く追いつかないと、草介さんがホシガリ様の生贄になってしまうかもしれない。
「急ごう」
私たちは足跡を追って、この奇妙な屋敷の奥へ奥へと侵入していった。

床に残る微かな足跡を追いながら、うんざりするほど複雑な経路をたどる。最後に足跡は木の引き戸の前で途切れていた。

ここにいるのかな?
私が引戸に手をかけると、ダリがその手をぎゅっと握った。

「綾音・・・待て・・・。何か、いる」
そして、代わりにダリが引き戸を開いた。

あ!?

引き戸の向こうはこれまでのような闇ではなく、四方の壁に蝋燭の火が灯っていた。部屋の大きさは変な喩えだが、能舞台くらい。ちょうど十畳ほどだろうか?床は相変わらず板張りであるが、引き戸と反対側の壁際に一段高くなっているところがあり、そこに部屋の中なのに屋根がかかっていた。

部屋の中に屋根・・・というところで、私は能舞台を連想したようだ。

そして、その能舞台に当たるところに、横たわる人影と、座っている『何か』がいた。

人影は・・・

「草介さん!」

そう、目を閉じて、ぐったりと横になっているのは浮内草介だった。

そして、『何か』は髪が長い、女性のように見えた。うつむいており、長い髪がかかって顔は全く見えない。赤い着物を着ており、両の肩から白い布切れのようなものを垂らしている。

「あれが・・・ホシガリ様・・・?」
ゴクリと宝生前が息を呑む。

「あれは、祓って・・・よいな?」
ダリが戦闘態勢に入る。あの女性のようなホシガリ様をダリも敵とみなしたようだ。

瞬間、古槍を右手に顕現させ、ダリが床を蹴って奔った。

古槍の一閃

草介の傍らを抜け、ホシガリ様をダリの槍が切り払った。
ホシガリ様は横一線に切れ、真っ赤な血を吹き出した。

げげげ・・・グロい・・・。

私は思わず目を背けてしまった。今まで、あんなふうに血を流した妖怪がいただろうか?大抵の妖怪はダリに切られると霧のように散っていってはいなかったか?

まさか・・・あれ・・・人間だとか?

私の思考が妙な方向に流れている間に、ダリが草介を横抱きにして連れてきた。そっと、私達のもとに彼を寝かせる。
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