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天狐あやかし秘譚
第26章 往古来今(おうこらいこん)
どこかの屋敷?
私は縁側のようなところに立っていた。また、夜になっている。空には星が瞬いており、海子らの家を覗いたときには昇っていた月は、今は見えなかった。襖で囲われている部屋の向こうから、何をしているかが瞭然なほどの男女の淫声が聴こえてきた。

「あああ♡・・・清延さま・・・いい・・・海子はとても心地ようございます」
ずっちゃ、ずっちゃと水音が響き、その音に合わせて海子が喜悦の叫びを上げる。
「海子・・・海子よ!」
そっと隙間から覗くと、先程の若者が、海子に馬乗りになり、力強く腰を打ち付けていた。筋肉質の背中に薄っすらと汗をかきながら激しく交わるさまは、私の官能も刺激してくる。

すごい・・・。

腰を打ち付けると、白い喉をのけぞらせ、海子がとろけた表情を見せる。白い乳房を日に焼けた太い指先がグニグニと弄り、乳首をこね、さすっていた。本能のままただひたすらに打ち付けられる熱い陰茎の温度がこちらにまで伝わってくるかのようだった。

「ああ!あああ!・・・清延様!清延さまあ!!!」
「海子・・・我が子を・・・我が子を孕め!」
「はい・・・はい・・・お願いします!清延様の・・・清延様の子種を・・・すべて・・・すべてお与えになってください!!ああっ!ああああ!!」

ひときわ大きく叫ぶと、海子は身体を弓なりにして絶頂した。見えずとも、その陰茎からあふれる精液が、彼女の子宮を叩いている様子が分かってしまう。見ているこちらまでジュンとあそこが濡れてきてしまう。

そのままぎゅうと強く抱き合い、口づけを交わす。愛に溢れた、交わりだった。

『海子は、清延様をたぶらかした』

不意に声がした。あたりを見回すが、誰もいない。声からして、先程の髪の長い美人、すなわち、海子の姉だと分かった。

『あの醜い身体で籠絡したのじゃ』
『淫らに清延様のマラを吸いあげ、色香で惑わし・・・』
『許せぬ・・・妾こそがふさわしいのに・・・』
『妾が・・・妾が!!!』

あたり一面から声がする。その声は木霊し、響き合い、何度も何度も繰り返される怨嗟の叫びとなる。その大音量の叫声に世界はゆらぎ、景色がひび割れ、粉々に砕けた。

何、何!今度は何よ!!
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