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天狐あやかし秘譚
第27章 銘肌鏤骨(めいきるこつ)
☆☆☆
その後、数日間、『私』は事ある毎に左近次を呼びつけ、抱きしめてもらった。抱きしめられると、醜く爛れた心も、少しずつ癒えるように感じた。

ある時、ふと『私』が左近次を見上げた。視線が絡み合い、まるで引き合うように唇が重なった。

温かい・・・。彼の唇から光が身体に流れ込んでくるような思いがした。その光は身体を巡り、『私』の鬼性を溶かしていく。

ああ・・・これが、求めていたものだったのか・・・。

着物を脱ぎ、下紐を解く。彼もまた、着ているものを脱ぎ捨て、『私』を強く抱きしめた。人の肌が、こんなにも熱く、優しいものだと、『私』はこの時初めて知った。

彼の唇が首に触れた。強く吸われると、その部分が燃えるように熱を持つ。乳房を力強くゴツゴツとした男の手で握られると、その先端はたちまち膨れ、痺れるように疼いた。

その手で触られた所、全てが心地よい。
その唇で吸われた所、全てが打ち震える。

彼の顔が、普段決して人に見せることのない、『私』の秘した茂みに覆いかぶさる。舌を伸ばし、その中の『私』も知らない愉楽の芽をついばむ。

「はあっ!・・・ああああ・・・」

腰がひとりでに跳ね上がり、腰の奥まで震えてしまうほど心地が良い。自分の口から初めて聞くような声が上がる。

音を立てて秘所を舐め、転がし、吸われ、『私』の身体は力が抜けきり、ただただ喘ぐだけにされてしまう。

女の体がこれほどの愉楽をもたらすことを、『私』はここで知ることになる。

「ホシガリ様・・・私は・・・私は・・・!」

ゆとりなく喘ぐ左近次はぬかづき、希うように『私』の身体を抱きしめる。

「もう・・・いたしとうございます・・・私は・・・私は・・・!」

『私』もこらえることは出来なかった。身体の内側から、これまで感じたことがないような情が湧き上がり、止めようがなかった。

求めていた。

何を?分からない・・・分からないが、身体の内に何かを受け入れねばならないことがだけが判然としていた。
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