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天狐あやかし秘譚
第32章 【第8話 市民の木】一意専心(いちいせんしん)
気がついたら家で寝ていたよ。母さんが、『お前は木の下でなんで寝てたんだ』って言っていたから、きっと、気絶してたんだろうね。でも、不思議と怪我はなかった。

それで、次の日にさ、どうしてもあの男の子の正体を突き止めてやろうと思ってね。だって、不思議じゃないか。突然現れたり、木から落っこちても怪我してなかったり。きっとあれは『神様』じゃないかと私は思ったんだね。だから、また性懲りもなく木の上に登ったんだ。

もちろん、男の子はいなかったよ。

でも、私は諦めなかった。何日も、何日も登ったよ。
で、色々試したね。木に抱きついてみたり、大声で呼んでみたり、出てきてくださいと祈ってみたりね。

そんなことを2週間位やったかね?ある日、木に登ろうと行ったら、木の根元にその子が立っていたんだよ。
最初に会ったときと同じ服装だ。薄水色のシャツに、茶色のズボン。
やっと会えた!と思ったね。だから私は聞いたんだ。

『あなた神様?』

そうしたら、その子は首を傾げてさ。ちょっと考えるみたいにして、それから、首振ったんだよ。なんだ、近くに住んでる子か、って思ったね。

『どこに住んでるの?』

そう聞くと、黙って町外れの方を指さした。

『また会える?』

私は友達がいなかったから、この男の子と友達になりたくてさ。そう聞いたら、うなずいてくれたのが、とっても嬉しかったね。

『じゃあ、約束ね。私とここでずっと遊ぼうね!』

それから、その子とは1週間に1回くらい、その木の下で会って、一緒に木に登ったんだ。あの木に登れる子は私の他にいないと思っていたからね。一緒に登れる子がいて嬉しかったよ。それで、枝に座って空を見たり、話をしたりした。あんまり喋らない子だったけど、私は楽しかった。

そんな風に毎日を過ごしていたけど、そのうち、こんな私にも学校に友達できてきて、それにつれて、木の下に行かなくなった。そんなんで、しばらく会わないうちに、私は5年生になった。
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