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天狐あやかし秘譚
第33章 季布一諾(きふのいちだく)
「綾音・・・」
「桔梗、この間の玉置さんのこと・・・」
私は桔梗に新聞記事のことを話した。挿し木がプレゼントされた、ということは、あの樹の命はつながったということだろうと思ったのだが、桔梗は別の反応をした。

「あの『木霊』はおりませぬ。樹自体は命をつなぎましたが、『木霊』は死んでしまいました。もう、会えないのです。」
そのとき、桔梗が見せた表情から私が感じたのは、『悲しみ』と『後悔』だった。

「私は、うまく出来ませんでした。
 死んだら、会えなくなるのに、抱きしめることも出来ないのに。」

ああ、そうか・・・桔梗は、自分と重ねたのだなと、このとき初めて理解した。
好きあった人間と木霊に、自分と誠一を重ねたのだ。だから、最後に姿を見せることが出来なかったこと、抱きしめることが出来なかったことを、『失敗』と考えたのだ。

「桔梗・・・大丈夫だよ。抱きしめなくても、姿を見なくても、玉置さんはちゃんと、彼に会えたし、お礼も言えた・・・土御門が言ってたよ。
 玉置さん、すごくいい笑顔だったって。
 だから・・・」

あなたは、全力で、彼らに良いことをしたんだよ、と伝えたかった。
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