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天狐あやかし秘譚
第33章 季布一諾(きふのいちだく)
☆☆☆
少し時を遡り、綾音たちが東京駅についた日の夜。
ここは、東京にある土御門家の別邸。別邸にも当然、交歓の間が用意されている。

「んんあ!瀬良ちゃん・・・今日は・・・一段と情熱・・・的やな・・・」
ジュボジュボとわざと音を立てて私は土御門様のものを口で扱き上げる。たっぷりと口に唾液を含ませて、舌を絡める。そうすると、口の端からよだれがダラダラと流れてしまうのだが、その方がエロティックであなたは好きでしょ?

フェラの技術も例に漏れず、幼い頃から仕込まれている。ぐいっと喉奥まで屹立を飲み込み、舌と喉の筋肉でそれを締め上げる。最初はこれも苦しくて、えづいてしまってしょうがなかったが、今ではスムーズに行うことができる。むしろ、口の中ですら快感を得ているくらいだ。

きっと、綾音はこんなことはないだろう。
男を悦ばせるためだけに存在する女・・・。

腹の奥に何か黒いものが湧き出そうになるのを、彼のものをディープスロートすることで誤魔化しているような気がする。

「おう・・・ええな・・・すごいで・・・瀬良ちゃん」

瀬良ちゃん言うな。彼の亀頭が私の口の中でプクリと膨れる感触があった。それを感じ、ひときわぐいっと喉奥まで彼のものを押し入れる。私の両の目からは、喉奥を突かれた事による生理反射で涙が溢れていた。

びゅる、びゅる、びゅる・・・

大きく三回、彼が私の中に精を吐き出す。それは喉の奥にあたり、胃の腑に落ちてくる。彼の匂いが身体中に沁み込んでいく。離さない・・・絶対に・・・離さないから・・・。

今日、桔梗の中で私は幾度も彼を感じた。

『瀬良を・・・わいの女、どないした?』
『ふっざけんなあ!瀬良を返せ!』

必死で追いかけてきてくれた。
それがたとえ主人と使用人という関係であっても、私のためにあんなに感情的になってくれた。私のために怒ってくれた。

嬉しくて・・・嬉しくて・・・勘違いしそうだった。
だから、今夜は特別。私のこの愛おしい気持ちを『お勤め』というオブラートに包んで、全部全部吐き出す。
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