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天狐あやかし秘譚
第41章 狂瀾怒濤(きょうらんどとう)

俺が動けなくなった一瞬の隙、それを敵は見逃さなかった。あっという間に体に金属の鎖が巻き付き、身動きが取れなくなる。どうやらこれは土御門の陰陽術のようだ。
ここまでぐるぐる巻に手足を縛り上げられてしまっては、先程のようにシラクモを回復させることもできない。
万事窮すだ。
それにしてもあの狐、何だ、あの妖力は・・・。あれではまるで・・・まるで・・・
神・・・のようではないか。
その神狐が、トントンと手に持った古槍で肩を叩きながら歩み寄ってくる。あちらでは土御門と女陰陽師がシラクモを縛り上げているところだった。
俺の背後では真白が未だに動けないでいる親父殿のそばで震えている。
クソ・・・なんで・・・なんでこんなことに!
スッと俺の首元に、狐の古槍の穂先が突きつけられた。
冷たい目で狐が俺を見下ろした。
「綾音を狙えば我に勝てると・・・?
もう、飽きたぞ・・・さっさと知ってることを話せ
・・・疱瘡神は・・・どこにおる?」
ぐいっと穂先が首にめり込む。もちろん、神宝の力で死ぬことはないが、この狐、おそらく俺が音を上げるまで何度でも切り刻む気だろう。
畜生・・・!
結局、俺は何も守れない。
お前の願いを叶えてやることもできない。
身動ぎをしようとジタバタしてみるが、強力な術で捕縛されているようで、全く動くことができない。ただ、狐を睨みつけることしか・・・。
「仕方ない・・・一度、その頭ふっとばしてみるか?」
多分、やろうと思えば刹那でできる行動を、わざと俺の恐怖心を煽るためにゆっくりと行う。穂先がこめかみに据えられ、少し引き離される。
確かに足玉の力で死ぬことはない、と頭では理解っているが、動けない身で頭をふっとばされそうになる恐怖心自体はどうにも防ぎようがない。
唇をぐっと噛んで恐怖に抗おうとするが、やはり体は細かに打ち震える。
「神宝使いでも恐ろしいか・・・?・・・死ね!」
槍の穂先が動き、狐の持つ恐ろしいほどの膂力で頭が根こそぎ吹き飛ばされる・・・その刹那・・・。
「や・・・やめてぇ!」
俺の後ろで真白が叫び声を挙げる。その声とともに、異様な気配が膨れ上がった。
ここまでぐるぐる巻に手足を縛り上げられてしまっては、先程のようにシラクモを回復させることもできない。
万事窮すだ。
それにしてもあの狐、何だ、あの妖力は・・・。あれではまるで・・・まるで・・・
神・・・のようではないか。
その神狐が、トントンと手に持った古槍で肩を叩きながら歩み寄ってくる。あちらでは土御門と女陰陽師がシラクモを縛り上げているところだった。
俺の背後では真白が未だに動けないでいる親父殿のそばで震えている。
クソ・・・なんで・・・なんでこんなことに!
スッと俺の首元に、狐の古槍の穂先が突きつけられた。
冷たい目で狐が俺を見下ろした。
「綾音を狙えば我に勝てると・・・?
もう、飽きたぞ・・・さっさと知ってることを話せ
・・・疱瘡神は・・・どこにおる?」
ぐいっと穂先が首にめり込む。もちろん、神宝の力で死ぬことはないが、この狐、おそらく俺が音を上げるまで何度でも切り刻む気だろう。
畜生・・・!
結局、俺は何も守れない。
お前の願いを叶えてやることもできない。
身動ぎをしようとジタバタしてみるが、強力な術で捕縛されているようで、全く動くことができない。ただ、狐を睨みつけることしか・・・。
「仕方ない・・・一度、その頭ふっとばしてみるか?」
多分、やろうと思えば刹那でできる行動を、わざと俺の恐怖心を煽るためにゆっくりと行う。穂先がこめかみに据えられ、少し引き離される。
確かに足玉の力で死ぬことはない、と頭では理解っているが、動けない身で頭をふっとばされそうになる恐怖心自体はどうにも防ぎようがない。
唇をぐっと噛んで恐怖に抗おうとするが、やはり体は細かに打ち震える。
「神宝使いでも恐ろしいか・・・?・・・死ね!」
槍の穂先が動き、狐の持つ恐ろしいほどの膂力で頭が根こそぎ吹き飛ばされる・・・その刹那・・・。
「や・・・やめてぇ!」
俺の後ろで真白が叫び声を挙げる。その声とともに、異様な気配が膨れ上がった。

