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天狐あやかし秘譚
第43章 陰謀詭計(いんぼうきけい)
☆☆☆
虫たちが俺、真白、鉄研、そして、シラクモを山の中腹まで運ぶ。いかにあの陰陽師たちの身体能力が絶大でもすぐには追いつけないだろう。その間に、この山を越えて逃げなくてはいけない。

「シラクモ、このまま山を越えて向こうの街に降りる。そこからは車で逃げるぞ」
何も言わずにシラクモが従う。このプライドが高く、好戦的な男が黙って逃亡の指示に従うとは、よほど先程の戦いで痛い目を見たとみえる。

まあいい。シラクモにごねられ、後手に回ることがない分、ことはスムーズだ。このまま山を越えられれば、あとは鉄研をなんとかして品々物之比礼を使わせる・・・しかない。

神宝は原則的には本人が自主的に身につけ、その権能を望まなければ力を発揮しない。無理やり領巾を身に着けさせて、脅して願わせても無駄なのだ。

だからこそ、品々物之比礼をわざと検知させて、陰陽師をおびき寄せ、真白の中に眠る疱瘡神を陰陽師が調伏する状況を作り上げたのだ。そうすれば、親父が、娘可愛さに、自らを犠牲にして、足玉を作る・・・そう踏んだのだ。

しかし、その目論見は見事に外れた。

ここまで、自分の保身に走るとは、正直思っていなかった。

ちくしょう・・・

あれだけ真白のことを何よりも優先していたくせに・・・。俺の生命だけではなく、真白のそれも、こいつにはどうでもいいというのか。

疱瘡神が陰陽師に封印されれば、その方がいいと考えたのか?
だとしたら、こいつに人の情を期待した俺が、馬鹿だったというのか。

俺は傍らに抱えている真白を見た。お館様は言っていた。真白は、あの姿になることを恐れている・・・と。

『だから、早く品々物之比礼を持っていってあげなよ』
『君と、真白さんが生き残るためには、それしか方法がない、と思うんだ』と言ってくださった。なのに・・・うまく事を進めることができなかった・・・。

とにかく、一旦ここから離れて、真白をどうするべきか、お館様に聞いてみなくては・・・。

バチン!

俺の思考は突然の衝撃で中断された。眼の前にまるで見えない壁があって、それが俺達を弾き飛ばしたかのようだった。
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