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天狐あやかし秘譚
第43章 陰謀詭計(いんぼうきけい)
「何が起きた!?シラクモ!」

見ると、シラクモは自分の正面、進行方向をじっと見据えていた。その視線を追い、俺は歯噛みする。

結界!?

宙空に淡いオレンジ色の光が渦を巻いていた。その渦ははるか上方まで続き、左右も見渡す限り続いている。ちょうど、越えようとした山の頂上付近に、俺達の進行を邪魔する形で張られていた。

術式のことは正直わからないが、今の状況からして、これが陰陽寮の人間の仕業であることはすぐに分かった。足玉の力を共鳴させ、後ろの方の気配を探る。

・・・ちっ!・・・もう、すぐ傍まで奴らは来てやがる・・・。

意識を集中すると、五感とは別に霊力を探査する『第六の知覚』とも言えるもので、付近の霊的なものをある程度補足することができる。これは神宝を使うことによって生じる、一種の副作用のような効果だが、なかなかに便利だ。

この霊力知覚能力は、同じ神宝使いでも個人差が有り、俺は割と優秀だが、シラクモはてんでダメだった。

その霊力知覚が俺に知らせていた。どういう方法か知らないが、すぐ後ろまで陰陽師たちが来ていることを。そして、自分らが、壁際に追い込まれ、絶体絶命である、ということを・・・。
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