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天狐あやかし秘譚
第44章 捲土重来(けんどちょうらい)

その土御門が勾陳の頭の上から地面に降り立つ。
颯馬とシラクモは地面から生えた土でできた縄のようなもので身体をぐるぐる巻きにされている。あれも、勾陳の力なのだろう。
真白は縛られた颯馬をかばうように抱きついていた。
「さて・・・」
土御門は、縛られたままうなだれている颯馬に近づき、足でその顔をぐいと持ち上げる。
「ずいぶんオイタしてくれはりましたな・・・
あんさんの持ってる足玉、それからあっちに転がっとる品々物之比礼・・・
それに、あっこの白髪も持っとるな?アレは・・・蜂肩巾(はちのひれ)やな?
全部、宮内庁が接収するやさかい・・・
悪く思わんといてな?」
「や・・・めろ・・・」
多分、神宝の力なのだろう、かなりのダメージを受けているにも関わらず、颯馬が目を覚まし、口を利く。
「兄様!」
そんな颯馬の声に応えるかのように、ぎゅっと、真白は彼を抱きしめた。兄様って・・・さっき、あの子が疱瘡真の姿になったときも彼をそう呼んでいた。
あの二人、兄妹なんだ・・・。
「無駄だ・・・あんさんの力じゃ抜け出せないよ・・・
それに・・・」
「ぐあああ!」
颯馬の身体がビクンと大きく跳ね上がり、また頭ががくんとうなだれた。
「地面に体がついとる限り、勾陳はいつでもあんさんを転がせるしな」
「兄様!!・・・お願い!兄様を放して!」
「ま・・・しろ・・・にげ・・・ろ・・・」
「あかんな・・・。その子は疱瘡神や・・・残念ながら、そのまま逃がすわけにはいかん」
「兄様!」
土御門が背中に背負った刀袋から蛇之麁正を取り出すと、ゆっくりと鞘走らせた。ギラリと禍々しい妖気を感じるほどの冷たく冴えた刀身が姿を現す。
「すまんな・・・嬢ちゃん・・・覚醒する前やったらなんとかなったかもしれへんのやけどな・・・」
本当に・・・土御門は真白を殺す気なの!?少なくとも今の見た目は普通の女の子。中学生くらいの可愛らしい女子だ。それを・・・!
「仕方ありません。先程のような疱瘡神の姿になって暴れられたら一体何千人、何万人の人が苦しんで死ぬか・・・見当もつきません。・・・あれは、必要な措置です。」
瀬良がいつにも増して事務的に説明する。ただ、その肩が小さく震えているところを見ると、彼女もまた、納得しているわけではない事がわかる。
無理やり飲み込んでいる・・・のだ。
颯馬とシラクモは地面から生えた土でできた縄のようなもので身体をぐるぐる巻きにされている。あれも、勾陳の力なのだろう。
真白は縛られた颯馬をかばうように抱きついていた。
「さて・・・」
土御門は、縛られたままうなだれている颯馬に近づき、足でその顔をぐいと持ち上げる。
「ずいぶんオイタしてくれはりましたな・・・
あんさんの持ってる足玉、それからあっちに転がっとる品々物之比礼・・・
それに、あっこの白髪も持っとるな?アレは・・・蜂肩巾(はちのひれ)やな?
全部、宮内庁が接収するやさかい・・・
悪く思わんといてな?」
「や・・・めろ・・・」
多分、神宝の力なのだろう、かなりのダメージを受けているにも関わらず、颯馬が目を覚まし、口を利く。
「兄様!」
そんな颯馬の声に応えるかのように、ぎゅっと、真白は彼を抱きしめた。兄様って・・・さっき、あの子が疱瘡真の姿になったときも彼をそう呼んでいた。
あの二人、兄妹なんだ・・・。
「無駄だ・・・あんさんの力じゃ抜け出せないよ・・・
それに・・・」
「ぐあああ!」
颯馬の身体がビクンと大きく跳ね上がり、また頭ががくんとうなだれた。
「地面に体がついとる限り、勾陳はいつでもあんさんを転がせるしな」
「兄様!!・・・お願い!兄様を放して!」
「ま・・・しろ・・・にげ・・・ろ・・・」
「あかんな・・・。その子は疱瘡神や・・・残念ながら、そのまま逃がすわけにはいかん」
「兄様!」
土御門が背中に背負った刀袋から蛇之麁正を取り出すと、ゆっくりと鞘走らせた。ギラリと禍々しい妖気を感じるほどの冷たく冴えた刀身が姿を現す。
「すまんな・・・嬢ちゃん・・・覚醒する前やったらなんとかなったかもしれへんのやけどな・・・」
本当に・・・土御門は真白を殺す気なの!?少なくとも今の見た目は普通の女の子。中学生くらいの可愛らしい女子だ。それを・・・!
「仕方ありません。先程のような疱瘡神の姿になって暴れられたら一体何千人、何万人の人が苦しんで死ぬか・・・見当もつきません。・・・あれは、必要な措置です。」
瀬良がいつにも増して事務的に説明する。ただ、その肩が小さく震えているところを見ると、彼女もまた、納得しているわけではない事がわかる。
無理やり飲み込んでいる・・・のだ。

