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天狐あやかし秘譚
第44章 捲土重来(けんどちょうらい)

「そいつの言うことは本当だ・・・」
いつの間にか鉄研が起き上がっていた。何らかのダメージが有るのだろう。まだ足元がおぼつかない様子でふらふらと歩いてくる。
「真白の中の疱瘡神は、そいつが・・・颯馬が持っている足玉で抑え込むことができる。うちの、名越の家は、そうやって1000年以上にわたって疱瘡神を抑え込んできたんだ・・・。だから、私からも頼む・・・真白に、真白に足玉を返してやってくれ」
チャ・・・
土御門が剣を降ろした。名越鉄研まで嘘を吐くはずが無い、そう踏んだようだ。
「分かった・・・それ解いてやるから・・・足玉をその嬢ちゃんに返したり・・・」
しゅるるんと軽い音を立てて、颯馬の戒めが解けていく。
「ただし!妙な真似をしてみろ?すぐにまた縛り倒したるからな」
戒めを解かれた颯馬は真白の方に向き直った。そして、祈るように頭を垂れる。
「真白・・・済まない・・・お前は・・・お前だけは苦しめたくなかったのに・・・」
そして、首からペンダントのようなものを外した。ペンダントトップのところには、不思議な光を放つ勾玉のようなものがついている。
あれが、きっと足玉なんだ。
それを真白の首にそっとかけようとする。
真白もまた涙を流していた。そして、首を振る。
「ダメよ・・・ダメ・・・それがないと兄様は・・・兄様は・・・」
なぜだろう。足玉が無いと疱瘡神になってしまい、殺されてしまうのに。おそらく、そのことをあの真白という子は理解しているはずなのに・・・。なんでさっきから足玉を受け取ることをそこまで躊躇しているんだ?
そんな真白の反対をよそに、ゆっくりと颯馬は足玉のついたペンダントを真白の首に通していく。
とにかく、あの玉さえあれば真白は疱瘡神にならなくて済む、というのは本当らしい。もしかしたら何か問題があるのかもしれないが、これで疱瘡神が封印されれば、中類村の人も助かるし、真白も殺される必要がなくなるし、赤咬病のパンデミックも起こらない。これで大団円ではないだろうか?
「あ〜・・・ダメだよイタツキ・・・そこまでは許可した覚えはないよ」
突如、どこからともなく知らない男の声が響いた。
いつの間にか鉄研が起き上がっていた。何らかのダメージが有るのだろう。まだ足元がおぼつかない様子でふらふらと歩いてくる。
「真白の中の疱瘡神は、そいつが・・・颯馬が持っている足玉で抑え込むことができる。うちの、名越の家は、そうやって1000年以上にわたって疱瘡神を抑え込んできたんだ・・・。だから、私からも頼む・・・真白に、真白に足玉を返してやってくれ」
チャ・・・
土御門が剣を降ろした。名越鉄研まで嘘を吐くはずが無い、そう踏んだようだ。
「分かった・・・それ解いてやるから・・・足玉をその嬢ちゃんに返したり・・・」
しゅるるんと軽い音を立てて、颯馬の戒めが解けていく。
「ただし!妙な真似をしてみろ?すぐにまた縛り倒したるからな」
戒めを解かれた颯馬は真白の方に向き直った。そして、祈るように頭を垂れる。
「真白・・・済まない・・・お前は・・・お前だけは苦しめたくなかったのに・・・」
そして、首からペンダントのようなものを外した。ペンダントトップのところには、不思議な光を放つ勾玉のようなものがついている。
あれが、きっと足玉なんだ。
それを真白の首にそっとかけようとする。
真白もまた涙を流していた。そして、首を振る。
「ダメよ・・・ダメ・・・それがないと兄様は・・・兄様は・・・」
なぜだろう。足玉が無いと疱瘡神になってしまい、殺されてしまうのに。おそらく、そのことをあの真白という子は理解しているはずなのに・・・。なんでさっきから足玉を受け取ることをそこまで躊躇しているんだ?
そんな真白の反対をよそに、ゆっくりと颯馬は足玉のついたペンダントを真白の首に通していく。
とにかく、あの玉さえあれば真白は疱瘡神にならなくて済む、というのは本当らしい。もしかしたら何か問題があるのかもしれないが、これで疱瘡神が封印されれば、中類村の人も助かるし、真白も殺される必要がなくなるし、赤咬病のパンデミックも起こらない。これで大団円ではないだろうか?
「あ〜・・・ダメだよイタツキ・・・そこまでは許可した覚えはないよ」
突如、どこからともなく知らない男の声が響いた。

