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天狐あやかし秘譚
第45章 奸佞邪智(かんねいじゃち)

一方からは土御門が、もう一方からはダリが、同時に『お館様』を狙う。上から見たらちょうど二人の位置関係は、お館様を間に挟んで90度のところだ。
その様子を見て、
「乱暴だなあ・・・」
呟いて、軽く嘆息すると、お館様が右手を天に掲げた。
「来い・・・八握剣(やつかのつるぎ)」
その言葉に反応して、右手に大ぶりの直剣が現れる。
その剣が現れるのと、ダリ達二人が声高に叫ぶのがほぼ同時だった。
「行きさらせ!蛇之麁正!!」
「貫け!」
彼らの声に応じ、爆発的に光が弾け、立ち込める瘴気を一気に吹き飛ばした。振り下ろされた蛇之麁正と天魔反戈から放たれた二条の光がピンポイントでお館様を強襲する。
弾けた光の中、にやりと男が笑う口元だけが見えた。
「6段階目くらいで・・・いいかな?」
男が無造作に右手の剣を横薙ぎにすると、彼を中心に青黒い光としか言いようのないものが膨れ上がる。
「何や!?」
「ちっ!」
そのまま青黒い光の球体は膨れ、ダリたちの渾身の一撃を消し飛ばすと、一気に弾けた。
「きゃあ!」
「ぐう・・・」
ダリたちの一撃を吹き飛ばしてなお、私達を守ってくれていたダリの結界越しにもその圧が届くほどの威力がその光にはあった。
更に・・・
「嘘やろ・・・」
土御門が驚くのも無理はない。青黒は球形に広がった・・・つまり、彼の背後にあった陰陽師たちが作り上げた巨大な結界にもぶつかり、その光の壁にヒビを入れていた。
ビシシシシ!
ヒビは瞬く間に大きく広がり、バリンというガラスが弾けるような音を立てて結界が吹き飛んでしまった。
「大鹿島様の玄武盤石厳界(げんぶばんじゃくげんかい)が・・・」
私の後ろで瀬良が慄く。何!?あの結界って、もしかして破られるはずなかった・・・みたいな?
「ああ・・・ごめんごめん、結界まで一緒に壊しちゃったよ・・・。まあ、とにかく、僕さ、もう行くから・・・そんな怖い顔しないでくださいよ・・・ね?」
土煙が晴れ、男が姿を現す。先程、ものすごい力の攻撃を放ったばかりとは思えないほどの・・・、なんというか、自然な立ち居振る舞いだ。全く力んでいる様子がない。
その様子を見て、
「乱暴だなあ・・・」
呟いて、軽く嘆息すると、お館様が右手を天に掲げた。
「来い・・・八握剣(やつかのつるぎ)」
その言葉に反応して、右手に大ぶりの直剣が現れる。
その剣が現れるのと、ダリ達二人が声高に叫ぶのがほぼ同時だった。
「行きさらせ!蛇之麁正!!」
「貫け!」
彼らの声に応じ、爆発的に光が弾け、立ち込める瘴気を一気に吹き飛ばした。振り下ろされた蛇之麁正と天魔反戈から放たれた二条の光がピンポイントでお館様を強襲する。
弾けた光の中、にやりと男が笑う口元だけが見えた。
「6段階目くらいで・・・いいかな?」
男が無造作に右手の剣を横薙ぎにすると、彼を中心に青黒い光としか言いようのないものが膨れ上がる。
「何や!?」
「ちっ!」
そのまま青黒い光の球体は膨れ、ダリたちの渾身の一撃を消し飛ばすと、一気に弾けた。
「きゃあ!」
「ぐう・・・」
ダリたちの一撃を吹き飛ばしてなお、私達を守ってくれていたダリの結界越しにもその圧が届くほどの威力がその光にはあった。
更に・・・
「嘘やろ・・・」
土御門が驚くのも無理はない。青黒は球形に広がった・・・つまり、彼の背後にあった陰陽師たちが作り上げた巨大な結界にもぶつかり、その光の壁にヒビを入れていた。
ビシシシシ!
ヒビは瞬く間に大きく広がり、バリンというガラスが弾けるような音を立てて結界が吹き飛んでしまった。
「大鹿島様の玄武盤石厳界(げんぶばんじゃくげんかい)が・・・」
私の後ろで瀬良が慄く。何!?あの結界って、もしかして破られるはずなかった・・・みたいな?
「ああ・・・ごめんごめん、結界まで一緒に壊しちゃったよ・・・。まあ、とにかく、僕さ、もう行くから・・・そんな怖い顔しないでくださいよ・・・ね?」
土煙が晴れ、男が姿を現す。先程、ものすごい力の攻撃を放ったばかりとは思えないほどの・・・、なんというか、自然な立ち居振る舞いだ。全く力んでいる様子がない。

