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天狐あやかし秘譚
第45章 奸佞邪智(かんねいじゃち)

そして、傍らにいる颯馬の頭に手を乗せてグリグリと撫でつけた。足玉を奪われたせいか、颯馬も何やら苦しげに喘いでいる。
「さあ・・・ちょっとした懲罰だよ、イタツキ。疱瘡神とお前自身の力で、あいつらを倒してご覧・・・。そうしたら、また足玉を持って迎えに来てあげるよ・・・」
だって・・・そうしないと、君、
死んじゃうものねえ・・・
バイバイ、と軽く手を振る。そして、いつの間に背負ったのか、シラクモを肩に背負いあげ、そのまま鬼道の裂け目に入り込んでいった。
はあ・・はあ・・・はあ・・・
肩で息をし続ける颯馬。目を最大まで見開き、苦しそうにする。
それでも男が消えゆく空間の裂け目に手を伸ばし、なんとか引き留めようとしていた。しかし、颯馬の手が触れる前に空間の裂け目は、それが出来た時と同じように、唐突に消えてしまった。
「ああ・・・ああ・・・ああああああ!!」
颯馬が、空を見上げ、両の目から涙を流し、悲痛な叫び声を上げる。その声が虚しく響き渡った。
「ぐうえああがああ・・・・」
その横で真白がさらに大きなうめき声を上げる。身体を縮こませてなんとか自分の中の疱瘡神を抑え込もうとするかのようだった。しかし、それにも限界が来てしまったようだった。
ドクン、と体全体が大きく脈打つように震える。
「があああああ!!!」
そのままのけぞり、奇怪な咆哮を上げた。身体が一回り大きくなり、髪の毛がごそりと抜け落ちた。腐臭が漂い始め、禍々しい気配があたりを包み込む。
その変化を私達はどうすることも出来ず、ただ眺めていることしか出来なかった。
「また真白さんが・・・疱瘡神に・・・ダリ、どうしよう・・・」
「ああなってはどうすることも出来ない・・・。滅するか、封じるか・・・だ」
「真白さんは?」
「・・・助からない・・・」
先ほど予感したことが直接ダリの口から聞かされる。やはり、ダリの力を持ってしても、あの疱瘡神を真白から引き離すことは出来ないのだ。
「真白・・・真白ぉ・・・」
颯馬がかすれた声で力なく真白の名を呼び続ける。本来の病気とやらが覚醒したのかもしれない。心做しか、頭髪や皮膚もくすんで生気がなくなり、頬や腕も痩せているようだった。
「ぐおおおおおおおあああ!!」
完全に疱瘡神と化した真白が天に向かって吠える。
「さあ・・・ちょっとした懲罰だよ、イタツキ。疱瘡神とお前自身の力で、あいつらを倒してご覧・・・。そうしたら、また足玉を持って迎えに来てあげるよ・・・」
だって・・・そうしないと、君、
死んじゃうものねえ・・・
バイバイ、と軽く手を振る。そして、いつの間に背負ったのか、シラクモを肩に背負いあげ、そのまま鬼道の裂け目に入り込んでいった。
はあ・・はあ・・・はあ・・・
肩で息をし続ける颯馬。目を最大まで見開き、苦しそうにする。
それでも男が消えゆく空間の裂け目に手を伸ばし、なんとか引き留めようとしていた。しかし、颯馬の手が触れる前に空間の裂け目は、それが出来た時と同じように、唐突に消えてしまった。
「ああ・・・ああ・・・ああああああ!!」
颯馬が、空を見上げ、両の目から涙を流し、悲痛な叫び声を上げる。その声が虚しく響き渡った。
「ぐうえああがああ・・・・」
その横で真白がさらに大きなうめき声を上げる。身体を縮こませてなんとか自分の中の疱瘡神を抑え込もうとするかのようだった。しかし、それにも限界が来てしまったようだった。
ドクン、と体全体が大きく脈打つように震える。
「があああああ!!!」
そのままのけぞり、奇怪な咆哮を上げた。身体が一回り大きくなり、髪の毛がごそりと抜け落ちた。腐臭が漂い始め、禍々しい気配があたりを包み込む。
その変化を私達はどうすることも出来ず、ただ眺めていることしか出来なかった。
「また真白さんが・・・疱瘡神に・・・ダリ、どうしよう・・・」
「ああなってはどうすることも出来ない・・・。滅するか、封じるか・・・だ」
「真白さんは?」
「・・・助からない・・・」
先ほど予感したことが直接ダリの口から聞かされる。やはり、ダリの力を持ってしても、あの疱瘡神を真白から引き離すことは出来ないのだ。
「真白・・・真白ぉ・・・」
颯馬がかすれた声で力なく真白の名を呼び続ける。本来の病気とやらが覚醒したのかもしれない。心做しか、頭髪や皮膚もくすんで生気がなくなり、頬や腕も痩せているようだった。
「ぐおおおおおおおあああ!!」
完全に疱瘡神と化した真白が天に向かって吠える。

