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天狐あやかし秘譚
第45章 奸佞邪智(かんねいじゃち)
☆☆☆
「颯馬さん!」
私は声を上げた。こちらに来てもらい、結界の中に囲い込めば少しは病状の進行を止められるかもしれない。そう思ったからだ。
「綾音さん・・・!あいつは敵側です!」
瀬良が言うことも尤もだが、あれだけ弱っている人を放っておくことなんてできない。それに、先程まで颯馬は真白を助けようとしていたではないか。

「でも、助けたい!」
私が言うと、瀬良がこちらを一瞥する。その口の端が少し上がった。
「わかりました・・・。うまいこと疫鬼は土御門様と天狐様が惹きつけてくれています。疱瘡神は土御門様の方に気持ちが向いているようです。あまり気が進みませんが、もう少し近づいてみます。・・・私は結界の維持・強化に意識を集中するので、綾音さんが呼びかけて、結界内に引っ張り込んでください。」

私が頷くと、瀬良が呪言の奏上を続けながらジリジリと真白の方に歩を進める。私も歩調を合わせてついていく。おおよそ、真白たちまであと20メートルというところだ。

ダリと土御門はボコボコと地面から湧き出続ける疫鬼をさばくのに必死だ。ダリも私達や、多分颯馬、名越鉄研などが気になって大技を出せないのだろう。舞うように古槍を振り回しながら疫鬼を切り裂き続けるので手一杯になってしまっている。

ダリが大技を出すためにも、やはり颯馬をあそこから引き離す必要がある。

「おい!疱瘡神!こっちやで!」
土御門が真白めがけて蛇之麁正から光刃を放つ。呪言の奏上がなかったところを見ると、威力は殆どないものだろう。それが、私達の意図を察した土御門が真白の注意を引きつけようとしているためのものだとわかる。

距離が10メートルほどまで縮まった。
行けそうだ・・・。

「颯馬さん!こっちに来てください!そこにいたら死んでしまう!」
私はギリギリ結界から出ないところまで手を伸ばす。私の声は届いているはず。それが証拠に颯馬はびくりと肩を動かし、こちらに目をやろうとしてくれている。

お願い!自分でもこっちに来て、少しでも!!

「兄・・・サまァ・・・わ゙タ死・・・ガぁ・・・マもォ・・・るぅ・・かラ・・ぁ」

もう少しで颯馬に近づける、と思ったところに、重い瘴気をまとった真白が割って入ってきた。颯馬を守ろうとしている!?
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