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天狐あやかし秘譚
第47章 猪突猛進(ちょとつもうしん)

☆☆☆
土御門が光を纏う蛇之麁正を振り下ろす。ダリが雷を纏った槍で空を突く。
その刹那、私の背筋にゾクリと悪寒が立ち上った。
何か、とても良くないことが起こっている気がした。
いけない!
そう思ったのと、体が動いたのは多分、同時だった。
「綾音さん!」
瀬良が呼び止める声を振り切って、私は結界の外に走り出した。そのまま、両手を広げ、立ちふさがる真白に体当たりをした。
「綾音!」
「バカ!やめろ!」
ダリと土御門が同時に叫ぶ。私がタックルしたことで、真白はよろけ、ダリと土御門が放った退魔の光と雷鎚は空を薙ぐ結果になった。
何事か叫んで瀬良がこちらに近づいてこようとするが、疱瘡神の力が強すぎて近づけないようだった。そして、倒れた刹那、攻撃を受けたと認識したのか、真白が疱瘡神の力を更に強く辺りに撒き散らす。
先程よりも一段と強い瘴気が吹き上がり、私もたまらず目鼻を覆って後ずさる事になった。
でも・・・!
「ぐうう・・・」
真白の横で颯馬がうめきをあげた。ただでさえもとからの病気のために弱っているのに、病を賦活する疱瘡神の力が叩きつけられているのだ。下手したら死にかねない。
もちろん、強烈な瘴気に晒され、私自身も身体が重く、とてもじゃないけど平気とは言えない。しかし、私の身体は、薄っすらと光の幕のようなものに覆われていて、それによって瘴気の影響力が弱められていることが実感できた。
たぶん、これが護符の効果なのだろう。
「綾音さん!こっちに戻ってきてください!そのままじゃ死んでしまう!!!」
必死に瀬良が声を上げるが、ここまで来たのだ、颯馬を引っ張っていきたい。私は無理を承知で颯馬の方に近づいていく。
「に・・・ィ・・・さア・・・マァあッ!!」
よろけて尻餅をついた疱瘡神・真白が立ち上がり、私と颯馬の間に割って入ろうとする。やっぱり真白は颯馬を守ろうとしているの!?
でも、それはダメ、ダメなの!
「真白さん!・・・分かって!私は!私は颯馬さんを傷つけようとしていないの!あなたが守ろうとしている颯馬さんは、このままだと死んでしまう!」
疱瘡神となった真白の目は黒く落ちくぼみ、どこを見ているかも判然としない。意識があるのかもわからない。でも・・・それでも、こうして呼びかけ続けるしか、今の私には手立てがなかった。
土御門が光を纏う蛇之麁正を振り下ろす。ダリが雷を纏った槍で空を突く。
その刹那、私の背筋にゾクリと悪寒が立ち上った。
何か、とても良くないことが起こっている気がした。
いけない!
そう思ったのと、体が動いたのは多分、同時だった。
「綾音さん!」
瀬良が呼び止める声を振り切って、私は結界の外に走り出した。そのまま、両手を広げ、立ちふさがる真白に体当たりをした。
「綾音!」
「バカ!やめろ!」
ダリと土御門が同時に叫ぶ。私がタックルしたことで、真白はよろけ、ダリと土御門が放った退魔の光と雷鎚は空を薙ぐ結果になった。
何事か叫んで瀬良がこちらに近づいてこようとするが、疱瘡神の力が強すぎて近づけないようだった。そして、倒れた刹那、攻撃を受けたと認識したのか、真白が疱瘡神の力を更に強く辺りに撒き散らす。
先程よりも一段と強い瘴気が吹き上がり、私もたまらず目鼻を覆って後ずさる事になった。
でも・・・!
「ぐうう・・・」
真白の横で颯馬がうめきをあげた。ただでさえもとからの病気のために弱っているのに、病を賦活する疱瘡神の力が叩きつけられているのだ。下手したら死にかねない。
もちろん、強烈な瘴気に晒され、私自身も身体が重く、とてもじゃないけど平気とは言えない。しかし、私の身体は、薄っすらと光の幕のようなものに覆われていて、それによって瘴気の影響力が弱められていることが実感できた。
たぶん、これが護符の効果なのだろう。
「綾音さん!こっちに戻ってきてください!そのままじゃ死んでしまう!!!」
必死に瀬良が声を上げるが、ここまで来たのだ、颯馬を引っ張っていきたい。私は無理を承知で颯馬の方に近づいていく。
「に・・・ィ・・・さア・・・マァあッ!!」
よろけて尻餅をついた疱瘡神・真白が立ち上がり、私と颯馬の間に割って入ろうとする。やっぱり真白は颯馬を守ろうとしているの!?
でも、それはダメ、ダメなの!
「真白さん!・・・分かって!私は!私は颯馬さんを傷つけようとしていないの!あなたが守ろうとしている颯馬さんは、このままだと死んでしまう!」
疱瘡神となった真白の目は黒く落ちくぼみ、どこを見ているかも判然としない。意識があるのかもわからない。でも・・・それでも、こうして呼びかけ続けるしか、今の私には手立てがなかった。

