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天狐あやかし秘譚
第47章 猪突猛進(ちょとつもうしん)

その時、ふわりと光が私の体を包み込む。
「綾音・・・!無茶をするな」
ダリが私のことを後ろから抱きしめていた。
その身体から立ち上る良い香りが、疱瘡神の瘴気を打ち消してくれているかのようだった。
さらに、おそらく何かの結界を張ってくれているのだろう。身体が少し、楽になった。
「だ・・・ダリ・・・」
本当は颯馬を引き寄せなくてはいけないのだが、安心感が勝ってしまったのか、私はそのままくたりとダリの腕の中に倒れ込んでしまう。ダリはそんな私を抱え、大きく後ろにジャンプをして、疱瘡神との間に距離を取った。
「ダリ・・・ダメ・・・颯馬さんを・・・颯馬さんを・・・」
彼をあのままにしたら、真白は守ろうとしているまさにその人を自分の力で殺してしまう。
そんなのは、絶対、絶対、ダメだ。
「案ずるな・・・瀬良がうまくやっている」
ちらっと目をやると、瀬良が疱瘡神を大きく迂回して、その後ろに回り込んでいる様子が見えた。そして、私達に気を取られている真白の隙をついて、颯馬を一気に結界内に引き入れた。
「よか・・・った・・・」
相当私は無理をしていたに違いない。颯馬が助け出されたのを見届けたことで、ホッとした私の意識は、糸がぷつりと切れた凧みたいになって、くるくると回転して闇に落ちていく。
あとは・・・真白さんを助けて・・・お願い、ダリ・・・。
言葉にできなかった願い。この時点で、私の意識は完全に闇に飲まれてしまっていた。
「綾音・・・!無茶をするな」
ダリが私のことを後ろから抱きしめていた。
その身体から立ち上る良い香りが、疱瘡神の瘴気を打ち消してくれているかのようだった。
さらに、おそらく何かの結界を張ってくれているのだろう。身体が少し、楽になった。
「だ・・・ダリ・・・」
本当は颯馬を引き寄せなくてはいけないのだが、安心感が勝ってしまったのか、私はそのままくたりとダリの腕の中に倒れ込んでしまう。ダリはそんな私を抱え、大きく後ろにジャンプをして、疱瘡神との間に距離を取った。
「ダリ・・・ダメ・・・颯馬さんを・・・颯馬さんを・・・」
彼をあのままにしたら、真白は守ろうとしているまさにその人を自分の力で殺してしまう。
そんなのは、絶対、絶対、ダメだ。
「案ずるな・・・瀬良がうまくやっている」
ちらっと目をやると、瀬良が疱瘡神を大きく迂回して、その後ろに回り込んでいる様子が見えた。そして、私達に気を取られている真白の隙をついて、颯馬を一気に結界内に引き入れた。
「よか・・・った・・・」
相当私は無理をしていたに違いない。颯馬が助け出されたのを見届けたことで、ホッとした私の意識は、糸がぷつりと切れた凧みたいになって、くるくると回転して闇に落ちていく。
あとは・・・真白さんを助けて・・・お願い、ダリ・・・。
言葉にできなかった願い。この時点で、私の意識は完全に闇に飲まれてしまっていた。

